政治評論家の森田実氏はこう言う。
「今の『連合』は労働者の組織でも何でもなく、大企業の別動隊と思った方がいいでしょう。自分たちの権益を守りたいだけで、労組の魂は捨てたのです。そもそも前回選挙で、『消費税を上げない』と言った民主党を支援して政権を取らせながら、今度は公約違反の消費増税案に真っ先に賛成し、先頭に立って野田政権を支えているのだから呆れます。これは野田政権と同じペテンですよ。戦前、戦争を煽(あお)った大政翼賛会の一翼を担った右翼労組がありましたが、その再来か、それよりもヒドイ状況です」
「組合員が700万人いたのは10年以上前で、今は右肩下がりで減少し続けています。それに昔のように動員をかけても票は集まりません。高い組合費を集めながら、春闘などの団体交渉は早々に経営側と手を握る――そんな労働貴族の組合幹部を心底嫌っている組合員は多いのです。選挙で走り回っているのは、ごく一部の幹部だけですよ。まして、増税政権に誰が協力するものですか」(連合長野関係者)
選挙予測で定評のある政治評論家の野上忠興氏もこう言った。
「前回選挙を一生懸命やった組合員ほど、『あれだけ頑張ったのに裏切って……』との思いが強く、次回はバカらしくて動きませんよ。それに企業は今、リストラや合併で選挙運動どころではない。組織力の低下は避けられません。私は前回の労組の組織力を10とみると、次回は6〜7ぐらいに落ちると思う。地域にもよるが、労組票は大きく減ると覚悟するべきです。盤石といわれたパナソニック労組出身の平野博文・文科相(大阪11区)だって、どうなるか分かりません」