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【正論】終戦67年 文芸批評家、都留文科大学教授・新保祐司 「やり直し」と叫ぶべき危機だ

島木が人間に求めたものとは、つまるところ「ただひたむきであること、一切の卑俗なるものに媚(こ)びぬ、高く清らかに、激しい精神に貫かれたること」であった。

バブルがはじけても日本人は島木的な「まじめさ」を取り戻すことなく、逆にますます軽薄さにおぼれていった。

 しかし、昨年の3・11で、日本人は変わりつつあるのではないか。愚直さとか真剣さなどが見直されてきているようである。

北畠は「島木家の雑巾は、かりて足をふけないと、宅の女中はこぼしました。雑巾はいつでも、なめてもいい程にすすぎぬかれてあるそうです。こわい雑巾だと敬遠していました」と回想している。