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 日本では、九代目・松本幸四郎の帝国劇場でのロングランや本場ブロードウェイでの熱演が有名な、ミュージカル作品。その映画版である。名優P・オトゥール演ずるは、作家セルバンテス。彼が、宗教裁判で捕えられた獄中で、同囚のごろつきどもから物語『ドン・キホーテ』の原稿を守るべく、田舎郷士アロンソ・キハーナが妄想する遍歴の騎士ドン・キホーテの劇を演じるという筋立てである。
 我々から見れば、オトゥール(現実の俳優)→セルバンテス(映画の主人公)→キハーナ(劇中劇の主人公)→キホーテ(妄想)という三重の架空世界が展開されるわけである。しかし、そのことでこの作品は非現実的なものになるのではなく、むしろ「人生の真実」を迫力をもって描くことに成功している。三重のアイデンティティを持った一人の男の過酷と気高さとは、オトゥールを介して、私たち自身の現実と理想とに直結する。「どちらもラ・マンチャの男だ」との科白は、「私もラ・マンチャの男(女)だ」との感慨を惹き起こさずにはおかぬ。
 キホーテが敗れ、キハーナが倒れ、セルバンテスがそれでも運命に立ち向かうとき、我々は、オトゥールの叫ぶ希望の歌――ベストセラーともなった『見果てぬ夢』――を、我々自身の希望の歌とすることになるのである。そのとき、一見愚かしいドン・キホーテの「大冒険」が、実はあらゆる人々を救う「聖戦」にほかならなかったことが、明らかになるであろう。
 物語の役割とは何か、人はなぜ物語を必要とするのか。――その答えが、この作品にある。

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ラ・マンチャの男 - Wikipedia

劇作家ミゲルデ・セルバンテスカトリック教会を冒涜したという疑いで逮捕、投獄される。

ミュージカル・ナンバーとしては、タイトル曲『ラ・マンチャの男〜われこそはドン・キホーテ(Man of La Mancha - I, Don Quixote)』、ドン・キホーテが宿屋の下働きかつ売春婦のアルドンサを高貴な姫と信じて歌う『ドルシネア(Dulcinea)』などが知られる。なかでも『見果てぬ夢(The Impossible Dream)』は、本作品のテーマとして、中盤でドン・キホーテが歌い、ラストでも大合唱によって繰り返される。