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《新刊紹介★編集スタッフのこだわりドコロ》●本日発売！『随処作主（したがうところにしゅとなる）』の読みドコロ

お経も知らない、お袈裟の着方も知らない、お寺のしきたりも何ひとつ知らない。いきなり大本山の修行に行かされた20歳のご住職は、途方にくれます。ルールが分からないゲームにいきなり放り込まれたようなものです。「こういう場合はこうする」「なぜならこういう理由があるからだ」と教えてくれてもよさそうなものですが、先輩の雲水さんたちは誰も口では教えてくれません。なんとも不親切です。

しかし、大本山というところは、実は、そういう教え方をするところだったのです。そして、だからこそ、ご住職は、お坊さんとしての進退（作法や立ち居振る舞い）をすべて、ここでマスターできたというのです。

考えてみれば、人間は誰でも生まれたときは、ルールが分からないゲームに放り込まれたようなものです。最初は言葉も何も分からない赤ちゃんが、少しずつ体験を重ねることによって、世界と自分自身を了解していく。ここには言語以前の学びの本質があります。大本山の教え方とは、その本質に則った、実に親切な方法だったのです。