西尾幹二のインターネット日録 » 「吉本隆明氏との接点」(三)
ここで保守派というのは石原慎太郎、櫻井よし子、渡部昇一、中西輝政、西部邁、小堀桂一郎、森本敏、田母神俊雄などまだまだたくさんいる国家主義的保守言論人のことで
私が本稿で語った「現代リスク文明」は、工業社会の失敗なのではなく、その成功ないし勝利の帰結としての自己破産にほかならない。現代はいろいろな分野で「進歩の逆転」ということが起こっている。便利なものを追い求めた結果、便利が不便に、自由が不自由に転じるケースは無数にみられる。
どんな技術も実験を要する。そして実験には必ず失敗がつきまとう。失敗のない実験はない。失敗から学んで次の進歩に繋ぐ。しかし、唯一回の失敗が国家の運命にかかわるような技術は技術ではないのではないか。
吉本氏は、「進歩の逆転」が起こり得る現代の特性にまだ気がついていないのではないか。
私は宇宙開発にも、遺伝子工学にも、生体移植手術にも疑問を抱いている人間である。