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焦点:日銀が異例ずくめの緩和措置、「政治空白」で重圧続く

政界や市場の緩和期待が極度に高まる中で日銀がとった行動は、9年半ぶりの2か月連続の追加緩和、過去最大となる資産買入基金の増額、デフレ脱却に向けた政府との共同文書公表、と異例ずくめとなった。

日銀の金融緩和策の柱となっている資産買入基金は、2010年10月の導入以来、繰り返し増額されてきたが、これまで1回あたりの増額規模は10兆円程度が最大。11兆円の増額は初めて。また、緩和措置は10兆円の基金拡大を決めた9月会合から2カ月連続。わずか1カ月余りで追加策を決定した理由について白川方明総裁は、海外経済の減速の強まりと、それが内需に波及しつつある点を挙げた。

異例ともいえる緩和策を打ち出した直後にもかかわらず、市場の追加緩和観測は根強い。世界経済の減速長期化に日中関係悪化の日本経済への悪影響などが重なり、景気後退局面入りを懸念する声も出始めているためだ。市場では、米連邦準備理事会(FRB)が年末のオペレーション・ツイスト終了をにらみ、12月の連邦公開市場委員会(FOMC)で量的緩和第3弾(QE3)の拡充を打ち出すとみられており、それに伴う円高進行を食い止めるためにも日銀が12月会合で再び追加緩和に踏み切るとの見方が早くも出ている。白川総裁も日本経済の先行きリスクについて「どちらかというと下振れを意識する必要がある」と会見で表明。今後も中国をはじめとした世界経済や為替相場の動向が日本経済・物価に与える影響をにらみながら、追加緩和措置が検討されることになりそうだ。

アングル:日銀追加緩和、為替市場に打ち止め感広がらず

ドル/円の下落には歯止めをかけるが、円安効果は限定的──。これが日銀の資産買入等基金増額をめぐる現時点での市場の評価のようだ。

市場では、ドル/円相場上昇のカギを握るのは、やはり日米金利差との指摘が目立つ。投機筋の円売りはいずれ買い戻されるため、やや長い目で見れば相場にとって中立。このため、円安が進むためには国内投資家のドル買い/円売りが不可欠となるが、そのためには安定したボラティリティと十分な日米金利差が必要となるためだ。ただ、現時点では「ボラティリティは安定しているが、金利差拡大は見込めない」(唐鎌氏)との見方がもっぱらだ。ドル/円は貿易収支など需給面からは円高に歯止めがかかりやすくなっているが、円安に傾くには材料不足のようだ。