https://d1021.hatenadiary.com
http://d1021.hatenablog.com

Pan;ウィザードブックシリーズ第19弾 マーケットの魔術師

 本書が再び日本で発行される運びとなり、日本の読者がマーケットの魔術師三部作全巻を再度手に取れるようになったのは、この上ない喜びである。本シリーズすべてを愛読してくれている人たちの多くが、第一作目の『マーケットの魔術師』を今なお、お気に入りの一冊として挙げてくれている。とはいえ、本書は初版からすでに一二年が経過しており、世界の金融市場が大きく変貌を遂げてしまった今、本書が今日的意義を持つのかという疑問を抱かれる読者がいても当然だろう(もちろん、著者である私が新たに序文を記すにあたって、「この本はもう時代遅れだ」などと言うはずがないと、お思いだろうが)。しかし、それについて確かに私には客観的な見方ができるとは言えないが、本書の意義はまったくと言ってよいほど失われていないと確信しているのである。

 

その根拠は何だろうか? それは、『マーケットの魔術師』で取り上げている内容は、ほとんどがトレーダーの考え方や精神面について書かれたものであって、時代によって変わるマーケットの特殊状況についてはあまり触れられていないことだ。

 これらの概念や経験というのは、ほとんどが時間を超越したものである。本書の初版がアメリカで刊行されたとき(一九八九年)にマーケットで成功するための重要な資質だった条件は、今なおどれも極めて重要なものばかりだ。一つ説明を加えるならば、マーケットを動かすのは人間の心理であり、人間の心理(恐怖や強欲などといった根本的な感情)は不変なのである。

本書を一読していただければ、彼らの誰でもが最終的に独自のトレーディング哲学とトレーディング手法を確立し、信念を持ってトレードに取り組んでいることがわかると思う。 本書を発見したとき、我々は驚嘆すると同時に歓喜した。驚嘆は、ほとんどのトップ・トレーダー達が大いなる失敗を糧にし苦難の時期を経て成功していく道のりと輝かしい戦歴についてであり、歓喜は、「誰でも適切な訓練を受け努力を重ねれば成功トレーダーになれる」という、本書を通ずる著者からのメッセージの故である。

マーケットの魔術師
P6

何が彼らを際立たせているのか。多くの人々は、相場で勝つということは何か秘密の公式を見つけることだと考えている。インタビューしたトレーダー達の間には、方法論よりも態度について共通の基盤があるというのが真理であった。