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科学的証拠「過信は禁物」 DNA型鑑定など 司法研修所が報告書

 最高裁司法研修所は26日、DNA型鑑定など科学的証拠の刑事裁判での取り扱い方をまとめた司法研究報告書を公表した。報告書は「科学的証拠は客観的・中立的で極めて安定性が高い」として自白や証言への依存を減らす意味でも積極活用を促す一方、「正しい判断をするためには、限界を理解することが不可欠で、過信・過大評価してはならない」としている。

 司法研究は刑事裁判官3人と大学教授1人が担当。平成22年に再審無罪が確定した「足利事件」などを受けたもので、誤判を未然に防ぐための法曹三者に向けた指針となりそうだ。

 報告書は、関係者証言などには認識、記憶の程度といった不確実さがあるのに対し、科学的証拠は「信頼性が高く、有罪方向にも無罪方向にも大きな意味を持ちうる」と評価。特に、別人とDNA型が一致する確率(個人識別精度)が「約4兆7千億人に1人」とされる、現在主流のSTR型検査は「既に究極の域に達している」としている。


 ただ、そのためには鑑定が正しく行われることが重要で、科学的証拠の信頼性を検証する上で、弁護人へ関連データを開示することも求めた。


 その上で報告書は、証拠を評価する際の留意点として「証拠が示す事実」と「他の証拠を合わせると推認できる事実」を明確に区別するよう指摘。事件現場の遺留物から検出されたDNA型の鑑定結果は、それが被告に由来しているのかどうかを示しているにすぎず、「被告=犯人」とまでいえるかは、現場の状況など他の様々な証拠と合わせて「個別具体的に検討されなければならない」としている。


 裁判員にも共通の意識を持ってもらうため、評議での説明に加え、検察官や弁護人にも主張の中で明確に区別するよう求めている。