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【日の蔭りの中で】京都大学教授・佐伯啓思 アベノミクスは成功するか

 というのも、今日の日本経済の混迷は、それほど容易に克服できるものではないからだ。

 そもそものデフレ経済をもたらした背景には、グローバル化のなかでの新興国との激しいコスト競争がある。新興国の低賃金労働との競争によって、日本国内における賃金も下がるほかないのである。

 また、グローバルな金融市場の異常な発展によって、資本があまりに不安定に金融市場を飛び回る。それが時にはバブルを引きおこし、続いてバブルを崩壊させる。それがまた、国内経済を動揺させる。さらにいえば、日本の場合、いわゆる少子高齢化、人口減少社会へと突入し、それは将来の市場を縮小するものと予測される。それが民間投資を萎縮させるひとつの要因となっている。


 これらが重なり合って暗雲のようにわれわれの上に立ち込めており、それをすっきりと振り払うことは不可能に近い。仮に短期的には景気回復は可能だとしても、長期的にいえば、これらの不安材料はつねにわれわれの頭の上にぶら下がった剣のようにいつ落下するともかぎらない。

そのためには、大きな思考の転換が要求される。なぜなら、問題の本質は、グローバルな過度な競争にこそあり、このグローバル市場競争モデルから距離をおかなければならないからである。そしてそれは、一種の長期的な公共計画のもとに、できるだけ国内で資金が流動するような構造を作り出すという方向へかじを取るということであろう。

 いずれにせよ日本は、今後10年、20年で大きく社会構造を変えてゆかざるを得ないのであって、そのための新たな社会基盤の整備が必要となる。そこには、防災も含まれるし、地域の再生もあり、教育や医療、介護の充実もある。それらを総合した公共計画を政府が推進するほかないであろう。しかもそれは、国内にある資金を国内で循環させ、結果として内需を活性化することになるであろう。


プラザ合意 - Wikipedia

また円高により、「半額セール」とまでいわれた米国資産の買い漁りや海外旅行のブームが起き、賃金の安い国に工場を移転する企業も増えた。とりわけ東南アジアに直接投資することが急増したため、「奇跡」ともいわれる東南アジアの経済発展をうながすことになった。

http://d.hatena.ne.jp/d1021/20130118#1358521557(フォールト・ラインズ)