白川総裁は、政府との共同声明について、「大きな目的のために、政府と日銀が果たすべき役割を明確にし、連携していく。日本の潜在成長力が低下するなか、経済の立て直しには連携が必要だ」と述べ、その意義を強調しました。
また、来年以降、期限を定めずに国債などを買っていく、新たな金融緩和の強化策を決めた理由について、白川総裁は「物価安定の目標をできるだけ早く実現することを意識した場合、期限を定めないほうが効果的であると判断した」と述べました。
さらに、2%の物価上昇をどう実現するかについては、「相当思い切った努力が必要だ」と述べたうえで、「実現には、政府などによる成長力の強化が必要だ」と述べ、金融緩和の推進だけでなく、政府の成長力強化の取り組みが不可欠だという認識を示しました。
一方、共同声明が日銀の独立性を脅かすことにつながらないかという質問に対しては、「共同声明は日銀の独立性にも配慮してもらっている。一方的な関係ではなく、お互いの役割を理解して取り組んでいくものだ」と述べました。
−−政府との共同声明が結ばれた
「今の日本経済の状況を考えると、金融緩和の環境がもっと活用され、政府による成長力強化の取り組みがあれば緩和効果はもっと高まる。一方、日銀の金融緩和が財政赤字の穴埋めと受け止められれば長期金利が上がり、経済の下ぶれリスクになるため、政府との連携が必要だ。(政府が日銀に押しつける)一方的な内容ではない」
−−物価目標の2%は達成できるか
「予想物価上昇率に働きかけると同時に将来、政府の成長力強化以外の理由で物価が上がったときに、急激な上昇を抑える効果もある。一方、昭和60年から平成23年の物価上昇率の平均は0・5%で、物価目標2%の達成には政府と日銀、民間それぞれの立場で相当思い切った努力が必要だ」
−−審議委員2人が2%目標の導入に反対した
「目標の2%が、消費者物価の現状を大きく上回る点が一つ。第2に、政府による成長力強化が行われる前に、日銀が物価目標を掲げると、金融政策の信認を毀損(きそん)するためだ」
−−日銀の独立性確保は
「共同声明は政府と日銀が互いの役割を明確にしたもので、日銀の独立性に配慮がなされたと理解している。中央銀行の独立性は世界的に確立されている。日銀の独立性が損なわれれば、国民生活に悪影響を及ぼすと政府も認識している」
−−政治圧力に対し、総裁辞任を考えたことは