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アベノミクス富裕層消費動かす、高級時計、レジャー活況

 政府が、景気の基調判断を2カ月連続で上方修正したのは、安倍晋三政権の経済政策「アベノミクス」をきっかけに進んだ株高で、貴金属やブランド品といった高級品やレジャー消費などを求める富裕層の消費マインドが上向いているためだ。

一方で、平均的な家庭の給与所得は伸びないうえ、足元の円安に伴うエネルギー価格の上昇が重しとなって、日常の消費現場では節約による生活防衛を弱める気配はない。

 「高級時計を購入する男性客が目立って増えた」。東京・日本橋にある高島屋東京店の高級品売り場の担当者はホクホク顔だ。この店舗では、日経平均株価が上昇に転じた昨年12月から高級ブランド品がよく売れるようになった。富裕層の消費意欲を取り込むため、高級品売り場を今年3月に改装し、取り扱いブランド数を現在より1割多い70に増やす。


 高級品に対する消費意欲が盛り上がる背景には、アベノミクスに伴う株高がある。1月の全国百貨店の美術・宝飾・貴金属の売上高は前年同月比6.8%増加。高級車の販売も伸びており、日本自動車輸入組合では、2013年の外国車販売が25万台と前年比3.7%増えるとみる。


 レジャー産業にも追い風が吹く。プリンスホテルの全国9カ所のスキー場では、今シーズンの来場者数が前シーズンに比べ6.7%増加した。軽井沢プリンスホテル(長野県軽井沢町)のスキー場担当者は「週末にリフト待ちの大行列ができるのは久しぶり」と目を細める。


 また、JTBの東京・銀座の高品質旅行の専門店「ロイヤルロード銀座」も連日、シニアの旅行客らで賑わっている。なかでも豪華客船の旅が人気で、「100万円を超すツアーの申し込みも増えた」という。

 これとは対照的に、日常のスーパーや外食の消費現場に目を向けると、消費者の財布のヒモはまだ固い。1月の全国スーパー既存店売上高は前月同月比4.7%減。外食も新規店を含む全店売上高が2.2%減だ。円安の影響でガソリン価格や電気料金が上昇し始める中、家計が余分な出費を控える動きを強めているのが響いている。


 個人消費は、国内GDP(国内総生産)の6割を占め、その動向が景気の行方を大きく左右する。ニッセイ基礎研究所の矢嶋康次チーフエコノミストは「(政府が)所得増加につながる政策を打ち出せるかがカギ」と指摘している。