学内の教員からは「物事の本質を理解させるためにも日本語での授業を減らすべきではない」と反対の声も出ており、議論を呼びそうだ。
京大は93年、「教養部」を廃止し、新たに教養科目を担う総合人間学部を創設した。しかし、学生の学力低下に加え、教養教育が軽んじられる傾向もあり、教養教育の改革に着手。松本紘学長は昨年、改革の目標を「専門分野だけでなく、幅広い教養を身につけ、英語で語ることができる研究者を育成する」とし、教養科目の充実と英語教育の強化を打ち出した。今春、新組織「国際高等教育院」を設置し、教養科目のカリキュラム作成や講義の英語化を進める。
こうした構想に対し、総合人間学部の広野由美子教授(英文学)は「大学入学直後に日本語ですら難しい教養の講義を英語で理解できるのか。逆に英語コンプレックスを抱きかねず、真の国際人育成につながらない」と疑問を投げかける。
学生の反応はさまざまだ。工学部3年の中尾和也さん(22)は「今の教養科目の英語の授業は高校の焼き直しのような内容。それなら一般科目の一部を英語でやる方がためになるような気がする」と前向きに受け止める。農学部1年の長尾光洋さん(19)は「構想としては良いと思うが、教える側の準備が間に合うのか。本当にできるのか、少し心配になる」と話した。