アメリカ国務省で東アジア政策を担当するズムワルト次官補代理は、13日、ワシントンで講演し、TPP交渉への参加を日本が検討していることについて、包括的な貿易自由化は政治的に難しい判断が伴うものの、安倍総理大臣が重視する構造改革にもつながるという認識を示しました。
また、ズムワルト次官補代理は「アメリカがアジアへの関わりを維持するよう期待する日本にとって、アメリカが参加する自由貿易の枠組みは戦略的な価値がある」と述べてアメリカが主導するTPPの意義を強調しました。
そのうえで、ズムワルト次官補代理は「日本が交渉に参加するなら、TPPはアメリカにとってより意味あるものになるだろう」と述べ、日本の参加はアメリカにとっても重要だとして参加を歓迎する意向を示しました。
TPP「日本は参加決断を」 尖閣「平和的に関係改善を」 米政府高官
ズムワルト氏は、日本のTPPへの交渉参加について、経済的・軍事的に台頭する中国を念頭に、「米国を含むアジア太平洋地域の自由貿易の枠組みができる日本にとっての戦略的な意義があり、それがTPPだ」と強調。それ以外の選択肢は、「米国を含まない枠組みであり、どちらを選ぶのかは日本自身が決断すべきことだ」と述べた。
一方、この日のシンポジウムでは、沖縄・尖閣諸島も議論の焦点となった。
ズムワルト氏は、世界中に領有権争いは200以上あると指摘。米国自身、カリブ海のバハマや南太平洋の独立サモアと米領サモアなど、17の領有権問題を抱えているが、良好な関係を維持していると強調。
経済大国である日中両国の国際社会に与える影響は大きく、(中国側は挑発せず)双方が平和的な方法で関係改善することへの期待感を示した。