休日明けの21日に本格始動する。
黒田総裁は同日に日銀本店に初出勤。記者会見に臨み、金融政策の運営方針などを説明する。
日銀は、白川方明前総裁の下で平成22年10月から「包括緩和」と呼ばれる金融政策を実施している。基金を通じて国債や、国債に比べてリスクの高い社債や上場投資信託(ETF)なども購入。資金供給を拡大して金利の低下を促すと同時に、投資家がより安心してリスクの高い金融商品を購入できるようにする手法だ。市場に出回るお金の残高を増やすことを目的とする本来の量的緩和とは異なるが、結果的に残高が積み上がる量的緩和の側面も持つ。
これに対し、黒田氏や副総裁に就任した岩田規久男元学習院大教授は、資金供給量そのものを拡大して物価の上昇期待に働きかけることを重視しており、新体制の緩和策はより量的緩和色が強まる見込みだ。
具体的には、国債の買い入れ対象の拡大や新たな資金供給量の目標設定、26年導入予定の「無期限緩和方式」を前倒しし、基金による国債購入と通常の金融調節の国債買い入れ(輪番オペ)を統合する、などを軸に検討するとみられる。
一方、緩和を打ち出すタイミングも焦点になる。4月3、4日に予定する定例の金融政策決定会合を待たずに、臨時会合を開く選択肢もあるからだ。臨時会合で政策変更に踏み切れば、白川時代からの「レジームチェンジ(体制転換)」を強くアピールできる。
ただ、決定会合の臨時開催にはリスクもある。
過去の臨時開催は、10年前のイラク戦争開戦や20年のリーマン・ショック、欧州債務危機など緊急の金融リスクや市場の急変に対処したもの。緊急性がない中で開けば、「臨時会合の位置づけがあいまいとなり、政策運営に不透明感が生じる」(大手証券)との指摘がある。