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解雇ルールどう規定 人材流動化へ正社員制度見直し 政府有識者会議

勤務地や職務を限定したり、解雇規制を緩和したりするなどして労働市場が流動化すれば、成長産業への人材移動が円滑になって経済が活性化する、という論理だ。

ただ、雇用の流動化は安易な解雇を助長する恐れがあるとして労働組合などから慎重論が根強い。

 労働市場の流動化は、政府の産業競争力会議や規制改革会議で議論が始まった。15日の産業競争力会議では、民間議員の長谷川閑史氏らが、「再就職支援金」という名目で企業が社員にお金を支払うことでの解雇などを含め、「合理的な解雇ルールを明文化すべきだ」などと提案した。雇用維持を目的に休業手当の一部を助成する「雇用調整助成金」を抜本改革し、転職向けの教育訓練や転職先への助成などに充てる案も出した。企業の事業再編における中高年の転職も支援。会社を辞めても失業期間をなるべく少なくし、成長産業に就職できるような制度を求めている。


 規制改革会議でも、勤務地や職務が限定された労働者の雇用ルールの整備や、フレックスタイム制の見直しなどが提言された。

 正社員制度の見直しが議論されるのは、労働人口減少への対応や成熟産業にとどまっているとされる人材を流動化させ、日本企業が国際競争に勝ち抜く力をつける狙いがある。

 正社員の解雇は、過去の労使紛争の民事裁判の判例や労働契約法で、厳しく制限されている。このため、正社員の余剰人員を抱える企業の多くは正社員の採用を抑え、リストラしやすい契約社員やパート社員を増やして対応している。正社員側は将来も雇用が安定していると考え、転勤を伴う異動や、担当業務が大きく変わるような配置転換に従ってきた。


 しかし、労使双方が納得できる解雇規制のルールができれば、企業の余剰人員が少なくなり、成長企業での人材不足が解消される可能性がある。正社員と、契約社員、パート社員などの非正規社員に分かれている、現在の雇用形態が変わるかもしれない。日本総合研究所の山田久調査部長は「製造業からサービス産業へのシフトが進む中、日本企業の成長には企業をまたぐような労働力移動が不可欠だ」と指摘する。

 ただ、リストラされた中高年の正社員の移動先が見つからないなどの懸念もある。日本労働弁護団事務局長の佐々木亮弁護士は「解雇が乱用されれば劣悪な雇用環境となり、消費が冷え込み、経済にも悪影響だ。職業訓練の拡充など、人材が移動しやすくする仕組み作りが先決だ」と反論している。