民事執行法は、債務者(朝鮮総連)への売却を禁止。朝鮮総連の資金提供を受けている場合も売却は不許可となるが、地裁はこうした規定への抵触はないと判断した。
今後1週間、決定を不服とする関係者の執行抗告がなければ、最福寺の落札が確定する。
RCCは経営破綻した在日朝鮮人系信用組合から不良債権を引き継ぎ、このうち約627億円については全額の債務返済を総連に命じた平成19年の東京地裁判決が確定していた。
RCCの申し立てを受け昨年7月、地裁が競売手続きの開始を決定した。今月12〜19日に行われた入札は、最福寺を含む4者が参加していた。
落札額となった約45億円について、落札した宗教法人最福寺の池口恵観(えかん)法主は「(総連側からの資金提供は)一切ない。調達のめどは立っている」と強調する。しかし、警視庁の捜査幹部は「これだけの金をどう工面するのか。資金の出所は不明な点が多い」と明かす。
東京地裁の許可決定を受け、今後1週間は競売の債権者にあたる整理回収機構やほかの入札者が不服を申し立てることができる。
申し立てがあれば、原則として東京高裁で許可の可否が判断されるが、なければ許可決定が確定する。確定後、約1カ月以内に最福寺が代金を納付すれば所有権が移転する見込みだ。
東京・千代田区にある朝鮮総連中央本部の土地と建物は、破綻した朝銀信用組合から627億円の債権を引き継いだ整理回収機構の申し立てで競売にかけられ、鹿児島県の宗教法人、『最福寺』が45億1900万円と最も高い価格をつけました。
東京地方裁判所民事執行センターは、この宗教法人が不動産を買い受ける資格を持っているかどうかなどを審査した結果、29日、正式に落札者と認めて「売却許可決定」を出しました。
1週間以内に整理回収機構などから不服の申し立てがなければ、決定が確定します。
その後、裁判所が定めたおよそ1か月の期限内に代金を納めれば所有者となります。
宗教法人の代表は、北朝鮮をたびたび訪問するなど交流を続けていて、日本政府の意見を聞いたうえで朝鮮総連側に施設の一部を貸すことを検討すると話していることから、中央本部の土地と建物が朝鮮総連の活動の拠点として存続する可能性が出てきました。
【朝鮮総連本部落札】「総連には出ていってもらおうと思っている」、購入資金は金融から借り入れ 最福寺・池口恵観氏
落札直後に行った26日の会見で「朝鮮総連側から借りたいという意向があれば検討する」と述べたことの真意について質問されると、「国が北朝鮮に制裁を行っている。国の許しがあれば、(朝鮮総連が新たに本部とする)次の場所が見つかるまで、いてもらってもいいということです。基本的には、私は出ていってもらおうと思っている」と説明。
今後、朝鮮総連側にも伝え、一時的にせよ貸借の要請があれば、国へ判断を仰ぐ方針を示した。
落札額の約45億円の調達については、朝鮮総連中央本部と、最福寺別院の江の島大師の土地と建物を担保にして、大半を金融機関からの借り入れで賄うという。「すでに融資オーケーの判定をもらっている」と話し、担保としての価値を確保するため「総連側が出ていくことが融資の条件に入っている」と明かした上で、「北朝鮮関係の金でないことは明言しておきます」と強調した。
また、購入後の朝鮮総連中央本部跡地の運用については、「民族の融和の拠点として、英霊の供養の場にしたい」との意向を示した。