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自分の感情に訴えかける作品 ジョー・ライト監督 映画「アンナ・カレーニナ」

本作の真骨頂は、監督の発案で、舞台芸術の手法を用いて物語が演出された点にある。

 舞台型の演出というアイデアに至ったそもそもの発端は、ロシアではなく英国での撮影を強いられた結果、リアルさを欠くのではとの危惧がわいたことだった。結果的には「本来の自分の望みに忠実ではなく、周囲に期待された人生を演じながら生きていたロシア社交界の人々の内面をリアルに、より深く描ける」というまったく別な効果をも得られた。

はた目には美しく見える劇場のセットは、今にも瓦解(がかい)しそうで、欺瞞(ぎまん)に満ちた当時のロシア社交界の危うげなムードも絶妙に暗示していると、監督はほくそ笑む。

 それにしてもなぜ今、アンナ・カレーニナなのか。

監督の思いはこうだ。「最も重要なのは、自分の感情に訴えかける作品でなくてはならないという点。登場人物の存在はどれもまったくの真実で、恐ろしいほど身近に感じます。本を読むと私自身の人生に直接語りかけてくるのです」。

シネマの週末・トピックス:アンナ・カレーニナ

 本当の愛を知らぬまま政府高官カレーニンジュード・ロウ)と結婚し、社交界の華となったアンナ(キーラ・ナイトレイ)。若き将校ヴロンスキー(アーロン・テイラー・ジョンソン)とめぐり合った彼女は、許されぬ恋に身を焦がす。

 巨大な劇場型セットを導入し、偽りと真実の間で揺れる男女の激しい葛藤を、まさに“舞台のような人生”として描いた。

 人生を舞台になぞらえ、書き割りのように背景が変わっていく演出が鮮やか。恋するふたりにスポットライトが当たり、周囲の人々の動きが静止する舞踏会のシーンの美しさに息をのんだ。

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