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【話の肖像画】歌舞伎俳優・坂田藤十郎(81)[1]

 劇場が生まれ変わるということは、歌舞伎界全体が、いい意味で大きく生まれ変わる、ということだと思うのです。

 一人で踊るのも何ですから、歌舞伎新時代を象徴する舞台に、と思って考えたのが、歌舞伎の次々代というか、孫の(中村)壱太郎(かずたろう)と同世代の、いま一番若い人たちと一緒に出たらいいんじゃないかなと。会社に「どうだろう」と提案しましたら、「それはいい考えですね」と賛成してくれて、今回の舞台が実現しました。


 壱太郎をふくめ、尾上松也くん、中村梅枝くん、中村萬太郎くん、尾上右近くん、大谷廣太郎くん、大谷廣松くん…。みんな10代、20代の若者。歌舞伎の未来を輝かしく照らす、そういう舞台になればと思ったのです。私も、体全体から力が吹き出てくるような感じで舞台に立っています。


 上手(うま)い下手ではなく、彼らには若さの輝きがある。まあ、私も輝いていますけどね。

 私も、近松門左衛門の「曽根崎心中」をはじめ、海外公演の経験が多くありますが、外国でも皆さん、歌舞伎の本質を理解し、共感し、感動してくださる。歌舞伎は日本人の心を映す芸術であり、また、そこに日本独自の美が息づいているからです。


 歌舞伎座の開場をきっかけに、さらに歌舞伎を日本の人たちがもっと深く自分たちのものであると感じていただきたい。それが私の願いです。

http://d.hatena.ne.jp/d1021/20130405#1365170579
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