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インタビュー:消費増税先送りも選択肢、ドル100円程度は「妥当」=浜田参与

安倍晋三首相のブレーンで内閣官房参与を務める浜田宏一米エール大名誉教授は9日、ロイターとのインタビューに応じ、日銀の黒田東彦新体制が打ち出した大胆な金融緩和政策などを受けて景気に明るい兆しが見え始めている中、その動きを確実なものにするためにも、政府が2014年4月から予定している消費税率の引き上げを1年先送りすることも選択肢との認識を示した。


黒田日銀による大規模緩和を受けて、為替市場では円安が加速しているが、1ドル=100円程度の円安は競争力からみて「妥当な水準」と語った。概要は以下の通り。


──日銀の黒田新体制が打ち出した「量的・質的金融緩和」の評価は。


金利ではなく、ハイパワードマネー(マネタリーベース)を操作するというのは、そうした政策を主張する人からみても非常に驚きだったかも知れず、日銀が採用したのは画期的。さらに、これまでお金の交換に等しかった短期国債の買いオペが長期国債に及んだのは大きな進歩だ」


──今回の緩和策によって2%の物価目標を2年程度で達成することは可能か。


「金融政策が資産市場に効くことはわかっていたが、白川(方明前総裁)体制では(金融緩和)を出し惜しみしていたため、(効果が)わからなかった。現在は想定以上に円安、株高が進み、資産に関しては実験済みとなった」


「(2%の物価目標を)2年で達成できるかはわからない。財・サービスや消費、投資、雇用などにどれだけ的確に早く(効果が)及ぶかがこれからの問題だ。経済が回復してくれれば、1%に越したことはない。過剰設備を解消し、失業率も次第に改善し、有効求人倍率も1より大きな地域が増える状態が望ましい」


──景気の先行きは引き続き不確実性が強い状況ということか。


「来年4月に消費税を上げても大丈夫かは、今後をみてみないとわからない。安全策として1年くらい延ばすのもいいのではないか。せっかく上がりかけた景気が増税でぽしゃってしまう例は、日本の歴史だけでなく、世界の歴史にもある。ブレーキをかけて歳入(税収)の上昇が止まれば、消費税は率を上げただけで、何のためにもならない。財政の大盤振る舞いをしない限り、輸出業者からの儲けが国庫に入ってくるので、それを財政に使わずに貯める方向でいいと思う」


──仮に追加緩和が必要になった場合、日銀に手段はあるのか。


「例えば国債をすべて買い切るつもりでやってもいい。REIT(不動産投資信託)やETF(上場投資信託)はいくら買ってもいい。その他の手段も考えられる」


「問題は行き過ぎた場合にうまく止められないと、引き締めなどで(政策が)ギクシャクする。行き過ぎないよう、なだらかに収めることができれば名人芸だ。しかし、日本経済全体を行き過ぎたインフレに導くようになった場合、今まで金融を拡張し続けてきたので、引き締めることは悪いことではない」


──金融緩和策を受けて市場では円安がさらに進行している。


「いくらにすべきとは今の立場では言えないが、(1ドル=)100円程度はリーマン危機前後の状態とあまり変わっていない。学者風に言えば、実質為替レートなど競争力の指標から妥当な水準だと思う。株価も為替も長期的にみて妥当な水準から振れることは当然ある。今のトレンドがすぐに止まるかはわからないが、大きな行き過ぎやその反動で上下することも当然、起こり得る」