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G20後も相場は荒れ模様、方向性バラバラな各国の金融政策

市場では、20カ国・地域(G20)財務相中央銀行総裁会議後も荒い相場展開が続くとの見方が出ている。リーマンショックや欧州金融危機が一服した現在、各国の金融政策の方向性はバラバラ。自国の問題への対処が最優先となり、金融緩和をめぐる先進国と新興国の対立など利害関係の衝突が目立つ。


G20で表向きは合意となっても、水面下で各国の思惑が異なれば、対立の火種を残したまま、マーケットも不安定な状態が続きそうだという。


<過ぎ去ったグローバル・シンクロの時代>


最近の各国中銀の金融政策は、やや違う方向を向いている。米国のFRB(米連邦準備理事会)は物価安定と雇用の最大化の2つの目的を有するが、インフレが安定するなか、現在は雇用に重心を置いている。一方、ECB(欧州中央銀行)の現在の優先課題は、ユーロの金融システムの安定であり、債務危機問題が小康状態となっている今は何かを行う気配は乏しい。一方、日銀はデフレ脱却が最重要目的だ。日米欧ともに金融緩和環境を維持しているが、その方向性は微妙に異なる。


一方、新興国は依然としてインフレ警戒を緩めていない。ブラジルは17日、2011年7月以来となる利上げを実施した。経済成長率が10年には7.5%あった経済成長率が12年には0.9%まで低下するなど経済が弱いにもかかわらず、インフレに対応せざるを得なかった。3月のインフレ率は6.59%と目標上限である6.5%を突破している。ブラジルの物価上昇は最低賃金の引き上げなど国内要因によるとの分析もあるが、新興国からは先進国の金融緩和による過剰流動性流入がインフレの原因との批判が絶えない。


米国ワシントンで開かれているG20では、モスクワで開催された前回のG20ほど、為替などをめぐる白熱した議論にはならないとの見方が強まっている。ただ市場では「日米欧とも経済は盤石ではない。通貨安環境が欲しい状況であり、水面下での駆け引きもありそうだ」(国内証券)との警戒感は根強い。また、先進国は一部の新興国の為替操作を批判する一方、新興国は自国通貨の上昇やインフレは先進国の金融緩和が原因で、為替操作は必要だと反論する対立構図も続く見通しだ。


T&Dアセットマネジメント・チーフエコノミストの神谷尚志氏は「リーマンショックや欧州金融危機に対し、一緒に対応しようとしていたグローバル・シンクロナイゼーションの時代は過ぎ去り、いまは各国中銀とも自国の問題解決が最優先となっている。方向性が異なり始めたなかで、マーケットも荒っぽい値動きになり始めている」と話す。


前場日経平均は上値が重い展開。前日162円下落した翌日だが、反発力は弱い。「日本株の割安感は薄れてきている。国内勢の売りに対して海外勢の買いという構図は変わっていないが、上値をどんどん買っていくという姿勢は今は薄れている」(大手証券トレーダー)という。米株の変調でダウンサイドリスクも意識される中、マクロ系ファンドがオプションのプットを買っているとの指摘もあった。


<1ドル100円の攻防は続く>


ただ、一時懸念されていた円安をめぐる「日本叩き」は今回のG20ではなさそうだとの見方が市場では強まっている。IMF国際通貨基金)のラガルド専務理事だけではなく、FRBバーナンキ議長やECBのドラギ総裁も金融緩和策を擁護する発言をしている。麻生太郎財務相は18日夜、G20初日討議終了後に記者会見し、日銀が導入した金融政策は国内の物価安定が目的で2月のモスクワG20の合意内容に沿ったものだと各国当局者へ説明したとしたうえで、日本側の説明に対し、出席者から「会議の場で反論はなかった」と話した。


午前の東京外為市場では麻生発言を好感し、ドル/円は一時98.68円まで上昇。日経平均も上値が重いながらも、一時、上げ幅を拡大させた。


三菱東京UFJ銀行・市場企画部チーフアナリストの内田稔氏は「米為替報告書の余韻が残るなか、G20で日本に対して何か注文が付くのではないかという懸念がドル/円の上値を抑えているのかもしれないが、日本としては政策の結果ということで説明するしかないし、米国やユーロ圏、IMFは通貨を政策目標にしていない限り、むしろ政策自体は評価するというスタンスなので、結局、声明は2月の声明を踏襲する形で終わるとみている」と指摘。来週の米経済指標で懸念が払しょくされるような強い結果になれば、もう一度1ドル100円が視界に入ってくるとみている。


ただ、100円は依然としてオプションのストライクプライスが集中しており、防戦売りも出やすい。一方、突破すればストップロスを巻き込んで一気に上昇する可能性もある。「G20後も100円の攻防で荒い値動きが続きそうだ」(東海東京調査センター・シニアストラテジストの柴田秀樹氏)という。