唐詩選の中にある杜甫の詩を思い出した。「江（こう）碧（みどり）にして鳥（とり）逾々（いよいよ）白く、山青くして花（はな）然（も）えんと欲（ほっ）す」。美しい自然を詠んだものである。エメラルドのような水面の上を白い鳥が飛び浮かんでいる。その碧と白のコントラストが何ともいえない風景をかもし出している。そして山々は新緑が映えあちらこちらに紅の花が咲き誇って、山の緑と花の紅が一体となっている。こんな景色を目の辺りにして自然の大きさを感じて、人間はもっと大きな豊かな心を持つべきではなかろうか。春風に吹かれ、やがて散りゆく花も一瞬の喜びを人々に与えてくれるのである。
