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【自作再訪】谷川俊太郎さん「二十億光年の孤独」 自分の居場所、規定した

 それに思春期だから「自分とは何か?」ということをどうしても考えるんですね。時間と空間の中で、今自分がいる座標をどう定めるのか。これは悩みというよりは興味と言った方がいいかな。自分が住む東京は日本にあり日本はアジアにある。そのアジアは地球上のある地方で、地球は太陽系の中で…というふうにだんだん広げていく。すると限界の二十億光年で尽きる。そうやって自分の居場所を規定したんですね。


 だから「孤独」と言っても、僕の場合、学校や職場といった人間関係の中で抱く孤独ではない。兄弟がいないし母親との結びつきがすごく強かったから、学校に友達がいなくても割と平気でした。実存的と言ったらいいのかな、人類そのものが置かれている状況を孤独ととらえたんだと思います。

 それでも詩で身を立てようという気持ちは全くなかった。手仕事が好きでそのころは真空管ラジオの組み立てに夢中でしたから。