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格差問題とは距離を取っていた FRBが直面する路線変更|金融市場異論百出|ダイヤモンド・オンライン

 J・Z・ミューラー米カトリック大学教授は、資本主義における格差拡大は必然的副産物であり、特にグローバル化、金融化されたポスト工業化資本主義では、機会平等が広がっても格差は大きくなると指摘している。個人やコミュニティによって、経済の発展や進歩の機会を利用する巧拙に大きな差があるからだ(「フォーリン・アフェアーズ」13年3・4月号)。従来、多くの中央銀行家は格差問題とは距離を取っていた。金融政策でそれを解消することはできないからである。しかし、米国のようにここ数十年でこれほど激しく格差が広がると、考えを変える必要が生じてくる。

 例えば、S・B・ラスキンFRB理事は4月18日に、「所得や資産の格差の議論は、金融危機やその後の回復および今日の金融政策のあるべきコースをマクロ的に理解することにつながる」と述べた。

 米国の中低所得層の実質賃金の伸びは、過去30年、非常に緩慢だった。同時にそういった家庭でも借金で住宅を購入できる仕組みが整備されたため、彼らの住宅価格に対するエクスポージャーは劇的に高まった。そこを住宅価格暴落が襲った。彼らが受けた打撃は凄まじく、それがリセッションからの回復を遅らせてきた。


 10年時点で、所得階層の上位20%の家庭が持つ資産における住宅の比率は15%だが、中低所得層の場合は70%に近い。対照的に彼らは株式はほんのわずかしか持っておらず、株価が上昇しても恩恵は受けていない。それ故、今は住宅市場の回復を支える政策が大事だと同理事は主張している。

 ミューラー教授が言うように、ポスト工業化資本主義で格差が拡大しやすいのであれば、日本の金融政策もいずれその問題に直面する恐れがある。また、賃金の伸びが低くなりがちな中低所得層は、米国のようにインフレによって生活が圧迫されやすくなる恐れがあるだけに注意が必要である。

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