【賢者に学ぶ】哲学者・適菜収 決断にスピードはいらない - MSN産経ニュース
真の国際化とは国際標準に日本を合わせることでも外圧に屈することでもない。わが国の立場を明確にした上で、主張を通すことである。
哲学者の西田幾多郎(1870〜1945年)は、「世界的となるということは、世界に化して自己を失うということではない」(「知識の客観性」)と説いた。
わが国ではその知見を無視し、一面的な「真理」を妄信する人間が続出した。その結果、言葉の定義は混乱し、議論のための議論が増え、独断的信念や他人の学説を丸呑(まるの)みにしたようなものが横行するようになった。
西田は「知識の客観性というものが重んじられなくなった」「始めからある目的のために、成心(先入観)をもって組み立てられたような議論が多い」と嘆いた。
鎖国の時代に戻ることができない以上、われわれは西欧思想を扱わざるをえない。しかしそれは金科玉条のごとく崇(あが)め奉ることではない。分析・咀嚼(そしゃく)し、さらには東洋思想の概念を加えることで鍛え上げ、西欧に対抗すべきだと西田は言う。
「われわれ民族は、われわれ民族の心の底から生み出された世界的思想を建設しなければならない。それは単に、今日の世界的思潮に対して自家の他と異なる所以(ゆえん)を明らかにするというのではなく、自己の立場から今日の世界的思潮を消化し、今日の世界的思潮を扱い得るものでなければならない」
西田は言う。
「しかし、いたずらに力むばかりが能事でない。非常時であればあるほど、われわれは一面において落ちついて深く遠く考えなければならないと思う。迂遠(うえん)と思われるところにかえって真に顧慮すべきものがあるかもしれない」
http://d.hatena.ne.jp/d1021/20080127#1201394348
http://d.hatena.ne.jp/d1021/20130428#1367155261
http://d.hatena.ne.jp/d1021/20130509#1368106921