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歌舞伎:「柿葺落六月大歌舞伎」 福助の揚巻、誇り高く=評・小玉祥子? 毎日jp(毎日新聞)

 こけら落とし興行の3カ月目。1部の序幕が「鞘当(さやあて)」。橋之助の不破、勘九郎の山三が柄に合う。


 中幕が三津五郎の「喜撰(きせん)」。「チョボクレ」の軽妙さ、あてぶりの見事さ。名手の舞踊を堪能できる。時蔵のお梶がしっとりとしている。


 最後が「俊寛」。吉右衛門の俊寛が、型に沿いつつ様式を超え、喜びから絶望までを表現。岩の上で赦免船を見送り、悲しみの果てに無に化した幕切れが印象的だ。芝雀の千鳥が愛らしく勇敢。仁左衛門梅玉歌六左團次とそろう。


 2部の序幕が「対面」。仁左衛門の工藤が菊之助の優美な十郎、海老蔵の力強い五郎をがっちりと受け止める。芝雀の虎、七之助の少将、孝太郎の舞鶴と周囲もいい。


 次が「土蜘(つちぐも)」。菊五郎の智籌(ちちゅう)実は土蜘の精は、頼光に迫る姿に不気味さを出した。吉右衛門の頼光が端正。三津五郎の保昌、魁春の胡蝶、芝雀の榊。


 3部の最初が「鈴ケ森」。幸四郎の長兵衛が大〓客(きょうかく)の貫禄で、梅玉権八はひわ色の着付けが似合う二枚目の味。


 最後が顔ぞろいの「助六」。海老蔵助六は花道からの出など姿がいいが、「ツラネ」はやや聞き取りづらい。福助の揚巻が美しく誇り高く、「悪態の初音」の緩急がきく。菊五郎の白酒売りには柔らかな色気、吉右衛門の門兵衛にかろみがある。三津五郎の通人が洒脱(しゃだつ)。左團次の意休、七之助の白玉。