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焦点:中国人民銀行は流動性供給に消極的、政府の自信反映か | Reuters

中国人民銀行中央銀行)が流動性供給に消極的となっており、ここ数週間、銀行間金融市場を動揺させている。トレーダーらの中には、中国経済に成長鈍化の兆しがあるにもかかわらず、政府が景気への自信を強めていることの反映なのではないかとの見方が出ている。


人民銀行のこうした姿勢は、政策当局者らが金融緩和の必要はないと考えており、過剰債務の累積という中長期的なシステミックリスクに備える代わりに短期的な成長鈍化を容認していることを示唆している。


先週発表された一連の指標は、インフレ、マネーサプライ、融資の伸びがいずれも市場予想に届かず、多くのアナリストはここ数週間で通年の成長率見通しを引き下げた。


先月には、成長減速の兆候がみられたことから人民銀行が金融緩和に乗り出すとの見方が浮上したが、こうした期待は今のところ全く顧みられていない。


アジア系銀行の上海駐在トレーダーは「人民銀行の最近の強硬な姿勢は引き締めではなく、市場に金融政策はしばらく中立で推移することを理解させることが狙いだ」と述べた。


市場関係者らは、先週に数年ぶりの高水準に達した金融市場の金利は徐々に通常水準に戻るだろうとみているが、最近の混乱による心理的な衝撃は尾を引きそうだと指摘する。


人民銀行の姿勢は、たとえ人民銀行が市場へのキャッシュ供給に今すぐ積極的になったとしても、政策の緩和への真の転換というよりも、テクニカル的な微調整と解釈されるだろう。


UBS(香港)の中国経済部門トップ、Wang Tao氏は14日付の顧客向けノートの中で、「過去1週間の出来事を通じ、人民銀行があまりに急速な信用拡大は行わないということが明確になったと考える」と指摘。「この背景にあるのはおそらく、中央政府が成長減速に一段と寛容になっているということであり、金融リスク管理に対する注意を強めているということだ」と述べた。


<人民銀動かず>


今年に入ってからは総じて、人民元の先高感や先進国における低金利中国経済の回復への期待から海外からの資本流入が続き、銀行間市場では潤沢な流動性が維持された。


5月上旬までには、人民銀行は主に公開市場オペを利用して過剰な資金を吸収することで大規模な流入資金を不胎化していた。


ただ、5月中に環境は激変。米国の緩和策が縮小されるとの見方から、資金流入は細り、資金流出すら始まった。


14日に発表された人民銀行のデータによると、人民銀行も含む中国の銀行は5月に670億元相当の外貨を買い入れた。これは1─4月の月間平均である3780億元から大幅に減少したことを示すものだ。


それでも人民銀行は公開市場オペで資金供給は行わず、逆に中銀手形を通じた資金吸収を2011年12月以来初めて再開した。


先週の端午節には、流動性がタイト化する休暇シーズンにもかかわらず、中銀は動かなかった。


6月8日には翌日物レポ金利(加重平均)が9.81%をつけ、少なくとも11年ぶりの高水準となった。ただ、当局は中銀手形の売却を通じて20億元の資金を追加で吸収した。


短期金利は高水準>


翌日物レポ金利はそれ以降で低下したものの、18日には5.57%と高水準にとどまっている。より長期の金利は通常の水準をさらに上回っている。


指標となる7日物レポ金利(加重平均)は14日、2012年1月以来となる高水準に上昇し、18日もその水準付近にとどまっている。


トレーダーらは、金融市場における流動性タイト化の状況が続けば、流動性を改善するため、人民銀行は公開市場オペを利用するとみている。


ただ、人民銀行が支援に乗り出さなければ、四半期末が近づく中、6月末もしくは7月上旬まで流動性は引き続きタイトとなりそうだ。


こうした状況が続けば資金調達コストの上昇という形で実体経済に影響を及ぼす。特に小規模企業は大きなダメージを被るだろう。