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ドラマ『半沢直樹』の含意を深読みすべきと考える理由(SeaSkyWind) - BLOGOS(ブロゴス)

原作のタイトル(第1作『オレたちバブル入行組』、第2作『オレたち花のバブル組』)にあるとおり、まさにバブル入社組くらいまでの世代は、直に自分の経験と重ねて共感しているのだろうと思う。悪役に悪態をつかせるだけつかせておいて、最後に思いっきり啖呵を切るパターンは、日本のテレビドラマの定番、『水戸黄門』や『遠山の金さん』を思わせるものがある。そんな日本人の最も好む様式化されたパターンを効果的に織り込む演出の出来の良さも人気の秘密なのだろう。

ドラマ『半沢直樹』を観ていると、バブル入社以前の世代の私でさえ、あそこまでされてどうして日本の銀行に残ることにこだわるのか、と思わないでもない。バブル入社以降の世代であれば、余計そう感じるのではないか。半沢直樹ほどの実力者であれば、外資の銀行からも引っ張りだこだろう。今の収入の数倍〜数十倍を実現することも不可能ではなさそうだ。


だが、彼が日本の銀行にこだわる真の理由はそんなもの(収入、世間体等)ではないようだ。銀行から融資を引き上げられて自殺した彼の父親の恨みをダイレクトにはらすのではなく、その親の仇とも言える銀行の内部に入って、歪んでしまった日本の銀行を『本来の使命に目覚めた銀行に変える』という理想に昇華し、その為にトップに上り詰めようとするという大義半沢直樹の心底にある。


すなわち、半沢直樹という人格の中には、『倍返し』『10倍返し』と叫んでしまう、『黒』の部分と、国の為に役立つ企業に資金を提供するという銀行本来の使命を取り戻そうとする『白』の部分がある。その『黒』と『白』の相剋が観て取れる。ちなみに、ドラマ前半部では、家族や、自分たちの仲間の善意を思い起こすことで、かろうじて半沢直樹の中で、『黒』が全面支配することは回避できたようだ。

私達の中にも同じ『黒』と『白』がある。人間であるからには、きれいごとだけではすまされない。『黒』の部分は誰だって持っている。だが、それをなんとか『白』に昇華しようと苦闘する『心理ドラマ』の部分こそ『半沢直樹』を観て各人がじっくりと自分に置き換えて考えてみるべきところだと思う。

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