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『保守論壇亡国論』の「中西輝政批判」の一部です。 - 文藝評論家=山崎行太郎の政治ブログ 『毒蛇山荘日記』

私は、中西が京都学派の哲学者たちと同じような「歴史的使命感」や「書くことの内的必然性」を自覚しているかどうかという点になると、疑問を感じざるを得ない。中西の言論活動は、その意欲的な戦略的言説の割には影が薄い。それはおそらく中西の説く政治思想が陳腐であり、その政治戦略にしても、誰でも思いつきそうなものにすぎないからだろう。


 中西は、高坂正堯江藤淳から強い影響を受けて保守になったという。しかし、私には、中西が、高坂や江藤のラディカルな政治思想を継承しているようには見えない。中西の政治評論は平凡で通俗的であり、高坂や江藤が持っていたような思考の「鋭さ」や「深み」はない。そのため、中西には、高坂の『宰相吉田茂』や江藤の『夏目漱石』のような、この人にしか書けないというような「作品」がない。