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塾長雑感 第217回 主人と従者

「人民が情報を持たず、情報を入手する手段を持たないような人民の政府というのは、喜劇への序章か悲劇への序章にすぎない。知識を持つ者が無知な者を永久に支配する。」これはアメリカ合衆国憲法の起草者の一人であるジェームス・マディソンの言葉です。

今、日本では喜劇か悲劇かわかりませんが、その幕が上がろうとしています。いよいよ秘密保護法が国会に提出されるようです。防衛、外交、外国の利益を図る目的で行われる安全脅威活動の防止、テロ活動の防止の4分野についての機密情報を行政機関が特定秘密と指定すると、公務員と市民による情報漏洩、情報取得が最高懲役10年の刑罰で規制されるというものです。果たして秘密に値する実質秘かどうかを第三者が検証することができず、国会による行政監視機能も大きく制限されてしまう法律です。簡単にいえば、官僚が国家の情報を恣意的にコントロールすることができてしまうということです。国防、外国、テロ対策という名目はいくらでも対象を広げることができますから、これにより国民は、たとえば原発に関する情報や在日米軍基地に関する情報をも得ることができなくなります。永久に支配される側に回ってしまうということです。

昨年4月に発表された自民党憲法改正草案においては、憲法で国民に新たに10ほどの義務を課し、国民は国を成長させる役割を担わされます。そして憲法制定の目的も国の伝統と国家の継承にあると前文で明言しています。つまり、国家のための憲法なのです。政治家たちが自分の考えるよい国、強い国を作りたい、そのために国民に協力を義務づける道具に憲法が成り下がってしまっています。主権者国民は政治家たちに従順に従うことが求められています。