https://d1021.hatenadiary.com
http://d1021.hatenablog.com

【適菜収の賢者に学ぶ】統治者の条件は…時代錯誤の新自由主義路線進める安倍政権 - MSN産経ニュース

 ルネサンス期の政治思想家ニッコロ・マキャベリ(1469〜1527年)は、動乱期における理想の君主のあり方を説いた。主著『君主論』は、冷酷非道で反道徳的な書として一時期カトリックから焚書(ふんしょ)の扱いを受けたが、現在も版を重ねている理由は、君主についての議論の枠に留まらず、権力論、指導者論、組織論、軍事論などとして多様な読み方ができるからだろう。


 マキャベリは、君主は過去の偉大な君主を模倣せよと言う。「それというのも人間はほとんど常に他人の踏みしめた道を歩み、その行為に際して模倣するものであるからである−−もとより他人の歩んだ道を完全に辿(たど)ったり、模倣しようとする人間の持つ能力に到達することはできないのであるが−−。したがって賢明な人は偉大な人間の辿った道を常に歩み、卓抜な人間を模倣すべきであり、仮に自らの能力がそれに及ばないとしても、その場合彼らの芳香に与(あず)かることができる」


 アレクサンドロス(前356〜前323年)はアキレウスギリシャ神話に登場する人物)を、カエサル(前100〜前44年)はアレクサンドロスを、スキピオ(前236〜前184年)はキュロス(前600頃〜前529年)を模倣した。


 マキャベリは弓矢を例に出す。自分の能力の限界を知る賢明な射手は、標的よりも高いところに狙いを定める。射った矢が失速するのを計算に入れた上で、真の標的に到達するためだ。


 統治者の条件は次の2つのうちのどちらかである。すなわち能力があり偉大であるか、あるいは能力はなくても賢明であるかだ。過去の偉人の足元にも及ばなくても、賢明でさえあれば人の上に立つことができる。


 一方、自分の力量を知らない人間、自省する能力がない人間、身の丈を知らない人間がトップになると国は危険に晒(さら)される。なぜなら、彼らは軽蔑と憎悪の対象になるからだ。


 マキャベリは、無節操、軟弱、臆病、優柔不断といった負の性質を挙げ、それを克服するための「心の訓練」の必要性を説いた。それはひたすら歴史に学ぶことである。過去の偉人たちは危機をどう乗り越えたのか。大国はいかにして大国になり、滅亡国はいかにして滅亡したのか。戦争の勝因と敗因を検討して後者を回避し、前者を模倣する必要がある。


 そのためには平時においても、運命の変転に抵抗する準備を怠ってはならない。そもそも、平時と動乱期を明確に区切る基準など存在しない。真の危機は、動乱期であることに気づかず、権力の美酒に酔いしれることだろう。


 自民党は先の参院選で圧勝したが、TPPに関する「コメなど重要5項目を聖域として死守する」との公約をすでに反故(ほご)にしている。今秋には雇用を流動化させる「解雇特区法案」を提出するとのこと。この20年にわたるわが国の停滞の原因を突き止め、そこから教訓を汲(く)み取るのが指導者の役割であるはずだが、耳当たりのいい言葉を並べて保守層を騙(だま)しながら時代錯誤の新自由主義路線を推し進めているのが現在の安倍政権ではないか。道州制一院制に理解を示す安倍氏憲法改正によりどのような国を目指そうとしているのか。国民の疑念が軽蔑に変わったときに政権は崩壊するだろう。

http://d.hatena.ne.jp/d1021/20120501#1335880921