日銀は追加緩和でMBS買入れを=本田内閣官房参与 | Reuters
内閣官房参与の本田悦朗・静岡県立大学教授は23日都内で講演し、3%の消費増税により染みついたデフレ心理の払しょくが失敗することがないよう、日銀は来年4月以降に追加緩和を辞さない姿勢を明確にして欲しいと述べた。
追加緩和手段としては、住宅ローン担保証券(MBS)などリスク性資産を買入れるのが望ましいとの見解を述べた。また日銀法を改正し、物価の安定と雇用の最大化を目標とすべきとの持論を繰り返した。
<消費増税による期待インフレの腰折れを懸念>
本田氏は安倍晋三首相の経済ブレーンとして、9月まで来春の消費増税を毎年1%ずつ引き上げるなど小刻みにすることで、景気・物価の回復を妨げないよう進言してきた経緯がある。このため、「3%の増税で期待インフレが腰折れしないよう、日銀は4月以降、さらなる金融緩和の用意があると発信してほしい」と強調した。
日銀はすでに新発国債の7割を購入しているいるため、更なる国債買入れが追加的にどの程度効果をもたらすか不透明だとして、国債のみならずリスク性資産の買入れが相応しいと指摘。ただREIT(不動産投資信託)は日銀の買い増し余地が少ないため、「個人的にはMBSを買入れて欲しい」と述べた。
<日銀法改正必要、2年で2%達成と明言しなければ市場説得できず>
日本が15年間デフレから脱却できなかった原因は「日銀のみならず、財務省にもある」としつつ、最大の要因は「日銀の政策目標が明確でなかったこと」と総括。現在の日銀は「黒田東彦総裁のもとバズーカ砲で期待インフレ率を高めている」が、特定の個人に依存した経済政策運営は危ういとして、「日銀法を改正し、物価の安定と雇用の最大化を明記すべし」と主張した。
今年1月に政府・日銀が共同文書を作成した経緯について、「2年で2%の物価目標達成を、金融政策のみで達成できると明記しなければ市場を説得できない」、「2%達成まで、日銀は無制限に(国債)買い入れを進めるべし」と主張し、安倍首相も同意していたとの見方を披露した。
安倍政権の経済政策アベノミクスのポイントは「第一の矢、強力な金融政策であり、これによるデフレ脱却前に成長戦略を進めると需給ギャップは拡大してしまう」との見解を強調した。
これまでの政策効果については、「期待インフレ率の上昇に伴い実質金利が低下しておりアベノミクスが効いている証拠」と述べた。物価連動債と普通国債の利回り差を示すBEI(ブレーク・イーブン・インフレ率)は、「物価連動債の市場が薄いものの、期待インフレ率の大きな方向性は示している」とし、「現在は消費増税の影響を除いて1.3─1.4%程度まで上昇している」と指摘した。物価連動債の発行が再開されたことで、BEIの信ぴょう性も高まるとの見方を示した。