この中で、安倍総理大臣は、今回の臨時国会について「民間投資を喚起するための産業競争力強化法などの重要法律の成立は、回復しつつある経済が力強く飛躍する礎となると確信している。国家・国民のため、与野党の違いを超えて、成長戦略を実行する強い意志を内外に示すことができた国会ではなかったかと思う」と述べ、成果を強調しました。
そして、安倍総理大臣は、特定秘密保護法について「国会審議を通じて、与野党で幅広い議論を頂き、12の論点で修正されたことは大きな成果であり、よい法律にすることができたと考えている。『秘密が際限なく広がる』『国民の知る権利が奪われる』『通常の生活が脅かされる』といった懸念の声も頂いた。しかし、そのようなことは断じてありえない。今も政府には秘密とされている情報があるが、今回の法律により、秘密の範囲が広がることはない。一般の方が巻き込まれることも決してない」と述べました。
その一方で、安倍総理大臣は、特定秘密保護法への批判に関して、「厳しい世論は、国民の叱声であると謙虚に真摯(しんし)に受け止めないといけない。私自身が、もっともっと丁寧に時間を取り説明すべきだったと反省している。運用に最善を尽くすとともに、国民の懸念を払拭すべく丁寧に説明をしていきたい」と述べ、特定秘密保護法を巡る国民の懸念払拭に努めていく考えを強調しました。
また、安倍総理大臣は、先週、発足した国家安全保障会議、いわゆる日本版NSCについて、「今後、各国のNSCとの間で情報のやり取りを活発に行っていく。こうした情報交換を進めることが国民の生命と財産を守ることにつながると確信している」と述べたうえで、国家安全保障会議の事務局となる国家安全保障局の初代局長に、元外務事務次官の谷内内閣官房参与を起用し、年初めに発足させる考えを明らかにしました。
さらに、安倍総理大臣は、中国が東シナ海の広い範囲に防空識別圏を設定したことについて、「政府としては毅然かつ冷静に対処していくと同時に、日中間で無用の誤解や摩擦を減らし、不測の事態を避けるため、防衛当局間の連絡体制を強化することが必要だ。第1次安倍政権の際に、具体的な連絡メカニズムについて大筋合意したが、残念ながら、いまだ中国は運用開始に合意しておらず、引き続き早期の運用開始を中国に働きかけたい」と述べました。
また、安倍総理大臣は、日中・日韓関係について「アジア・太平洋地域の平和と繁栄のためには日本と中国、韓国との間で意志の疎通を図っていくのは有意義だ。首脳会談は現時点で実現の見通しがあるわけではないが、困難な問題があるからこそ前提条件を付すことなく、首脳どうしが胸襟を開いて話し合うべきだ。中国・韓国にもぜひ同じ姿勢をとってほしい」と述べました。
さらに、安倍総理大臣は、年内に靖国神社に参拝するかどうかについて「この問題が政治問題、外交問題化することは避けるべきで、私が靖国神社に参拝するか否かについては、今、申し上げるべきではないと考えている」と述べました。
安倍総理大臣は、復興特別法人税を一年前倒して廃止することに関連して「法人税の実効税率を、来年度から2.4%引き下げることを決めた。今後も、グローバル経済のなかでの競争力なども考慮しながら、検討を進めていく」と述べ、法人税の実効税率の引き下げを検討する考えを示しました。