<ユーロ圏の危機は終わったか>
(ユーロ圏の危機が終えんしたと)言明することには、ことのほか慎重だ。回復しているのは事実だが、繰り返し述べているよう、控えめかつぜい弱なもので、金融・経済・政治・地政学上のリスクによって簡単に損なわれてしまう恐れがある。
<利用可能な手段に資産買い入れは含まれるか>
詳細には踏み込みたくない。両方向の物価安定を実現する責務があり、理事会は条約で認められているすべての手段を使用する用意があることを明確にしたい。
<どの手段を利用する可能性があるか>
条約で認められているすべての手段が利用可能だ。
複数の利用可能な手段があり、どの手段を利用するかは実際にどのような緊急事態が生じるかによる。一部は短期金融市場の動向により容易に対応できるものであり、そのほかに中期見通しの全般的な悪化に対応する手段もある。そのため現時点でどの手段を講じるのかを憶測することは意味がない。
<12月のインフレ率>
周知の通り、昨年12月のインフレ率は伸びが鈍化したが、これはドイツのサービス部門インフレ統計の技術的な調整に伴い、季節調整のならしが進んだためだ。幸い一時的な影響で、1月の統計ではこれに伴う歪みはないだろう。
われわれはフォワードガイダンス(将来の金融政策指針)の強化を示す、より強めの表現を用いた。基本的に、必要があれば行動するとの決意を繰り返したものだ。
現在の市場水準は妥当と考えるが、われわれの行動につながり得る2つの緊急事態があると認識している。ひとつは短期金融市場の正当化されない引き締まりで、もうひとつがインフレの中期見通し悪化だ。今回トーンを強めた表現は基本的に、こうした問題に対処するものだ。
<短期金利>
過剰流動性の水準とユーロ圏無担保翌日物平均金利(EONIA)の間に安定した関連性を見いだしたり、推察したりすることは極めて困難だとあらためて強調したい。
<物価リスクは均衡>
中期的な物価動向見通しへのリスクは引き続きおおむね均衡している。上向きのリスクは商品(コモディティ)価格の上昇や予想以上の管理価格の上昇、間接税によるもので、下方リスクは予想を下回る経済活動に起因する。
<下方リスク>
ユーロ圏経済見通しを取り巻くリスクは引き続き下向きだ。世界のマネーおよび金融市場の動向やそれに関連する不透明感は、経済状況にマイナスの影響を与える可能性がある。
<鈍い回復>
2014、15年は、とりわけ緩和的な金融政策スタンスに支えられた内需改善を背景に、生産が緩慢なペースで回復する見通しだ。ユーロ圏の経済活動は、輸出に対する需要の段階的な回復にも支援されるだろう。
<金融市場を注視>
短期金融市場の状況やそれが金融政策スタンスに与える潜在的影響に関して、われわれは動向を注意深く監視しており、すべての利用可能な手段を検討する用意がある。
<強力な金融緩和を維持>
われわれは引き続き、強力な金融緩和を維持し、必要ならさらに断固とした措置をとる構えだ。
<低インフレの長期化>
低インフレが長期間続き、その後でインフレ率は緩やかに2%弱に上昇する可能性がある。
ECBは主要政策金利を長期間にわたり、現水準かそれを下回る水準に維持すると引き続き予想しており、フォワードガイダンスを確認した。