広島市の男性は、子どものいる女性と結婚したあと、その女性と離婚しましたが、血縁関係のない女性の子どもを自分の子としていったん「認知」していたため、みずからの意思で決めた認知を取り消すことができるかどうかなどが争点になっていました。
判決で、最高裁判所第3小法廷の大谷剛彦裁判長は「血縁関係がなければ父親の『認知』を無効にすることも可能だ。家庭にはさまざまな事情があり、無効を求めることを一切許さないのは妥当ではない」という初めての判断をして1審と2審に続き男性の訴えを認めました。
今回、訴えを起こした男性は、子どもと血縁関係がないことをあらかじめ知っていましたが、父親が認知したあとにDNA鑑定などで子どもと血縁関係がないことが判明するケースもあり、最高裁の判断は、今後、影響を与えそうです。
法律上の「父」、認知無効の請求は可能 最高裁が初判断 - MSN産経ニュース
民法は785条で「認知をした父母は認知を取り消すことができない」と定める一方、786条で、子や利害関係人による取り消しの主張を認めている。
1、2審判決によると、原告の男性はフィリピン人女性と平成15年に結婚。16年2月、自分とは血縁関係がないことを知りながら、女性の当時8歳の娘を認知した。その後、男性と母子は別居し、男性が認知無効を求める訴えを起こした。
学説上は「血縁関係のない認知は無効」という考えが主流だが、実際に法律上の父が裁判で訴えられるかについて、最高裁が判断を示すのは初めて。
同小法廷は「認知をするに至る事情はさまざまで、認知者による無効の主張を一切許さないとするのは相当でない」と指摘。男性は「利害関係人」にあたり、娘との血縁関係のない今回のケースでは、男性の無効請求が認められると判断した。
5人の裁判官のうち4人の結論。大橋正春裁判官は「認知した父の意向で子の地位を不安定にすることは許されない」とする反対意見を述べた。