『国際紛争 原書第9版 -- 理論と歴史』
(原書第8版の)P2
しかし,国際政治には,時代を越えて変わっていない側面もある。2500年前にツキュディデス(Thucydides)は,スパルタとアテネとの間のペロポネソス戦争を描いたが,そのようすは1947年以降のアラブ=イスラエル紛争に恐ろしいほど似通っている。今日の世界は,継続と変化の奇妙な混合物である。 ツキュディデス以来,国際政治のいくつかの側面は変わっていない。国際政治には,安全保障のディレンマといったものがつきまとい,敵意の論理が生じる。同盟や,バランス・オブ・パワー(勢力均衡),そして戦争か妥協かの選択とかは,過去何千年も同様に存在し続けているのである。
他方,ツキュディデスは核兵器やHIV/AIDS,地球温暖化を気にする必要はなかった。国際関係を学ぶ者の課題は,歴史の蓄積の上に立ちつつ歴史に呪縛されず,変化とともに継続性を理解することである。われわれは伝統的な諸理論を学び,それらを現在の状況に適用しなければならない。本書の前半の各章では,後の章で論じられる情報革命やグローバリゼーション,相互依存,そして脱国家的主体といった現象にとっての歴史的・理論的な文脈が提供される。世界政治の旧来の次元も新たな次元もいずれも無視できないうというのが,政府での経験から得た私自身の結論であった。
http://d.hatena.ne.jp/d1021/20140115#1389782719
http://d.hatena.ne.jp/d1021/20131218#1387363436