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【日々是世界】南シナ海問題、米中で再燃 「九段線」で応酬 - MSN産経ニュース

 九段線は、中国で発行される地図に描かれた南シナ海のほぼ全域を囲む破線。1947年12月に当時の中華民国政府が作成した地図に初めて登場し、11本の境界線が引かれた。その後、49年10月に現在の中華人民共和国が成立すると、これを引き継ぎ、11本を9本に修正。線をつなぐと南シナ海を覆うようにU字形をしているためU字線とも呼ばれる。


 2012年末には、中国の新旅券にも描かれていることが判明し、ベトナムやフィリピンが抗議した経緯がある。中国政府はこの九段線について、明確な説明を避けてきた。

 ダニエル・ラッセル米国務次官補(60)=東アジア・太平洋担当=は5日、米議会下院外交委員会アジア・太平洋小委員会の公聴会で、「(島(とう)嶼(しょ)など)陸域の領有に基づかない、九段線によるいかなる海洋権益の主張も国際法に合致しない」と述べた上で、中国に対し、九段線の国際法上の位置付けを明示するよう求めた。

 この証言を受け、ジェフリー・ベーダー元米国家安全保障会議(NSC)アジア上級部長は6日、所属するブルッキングス研究所のサイトに論考を発表。「米国政府が初めて、九段線が国際法に反するという明示的な声明を公表した」と解説した。

米紙ウォールストリート・ジャーナル(アジア版)も11日付の社説で、「ラッセル氏の証言は、米国が北京の挑発行動を何の疑いもなく受け入れることはないという重要な指標だ」と強調した。

 一方、中国側はラッセル氏の発言について、外務省の洪磊(こうらい)報道官(44)が8日、「建設的な行為ではなく、米国に理性的で公平な態度を取るよう求める」と反発。共産党の機関紙、人民日報傘下の国際情報紙、環球時報(電子版)も14日、政府系シンクタンク、南海研究院の呉士存院長(57)の「九段線の法的地位の否定を許さない」と題する寄稿を掲載した。呉氏は「九段線は1994年に発効した国連海洋法条約より40年以上前に出現している」とした上で、九段線の法的な位置付けを海洋法条約に合致するよう求めることは「法の不遡(そ)及(きゅう)という国際法の基本原則に反する」と独自の論理で反論した。

 九段線は、14日のケリー米国務長官の訪中でも取り上げられたようだ。ケリー氏は記者会見で、南シナ海問題で「より穏健で法の支配の原則に基づいた枠組みを構築する必要性について懸念を表明した」と述べた。ただ、北朝鮮の核開発問題をめぐり中国側の妥協を引き出したかったケリー氏が、実際の会談で九段線についてどこまで明確に主張したかは分からない。環球時報(電子版)は15日の社説で、ケリー氏が王毅外相(60)との会談で「米国は中国の平和的な台頭を歓迎し、中国を封じ込める意図はない」と述べたことを強調し、「歓迎と観察に値する」と牽制(けんせい)。香港英字紙サウスチャイナ・モーニング・ポスト(電子版)は15日、「ケリー国務長官東シナ海南シナ海の主権をめぐる緊張という最も重要な課題で、何の進展もなく訪中を終えた」と解説してみせた。

 だが、バラク・オバマ米大統領(52)のアジア歴訪を4月に控え、米中間で南シナ海の領有権問題が再燃することは避けられそうにない。ウォールストリート・ジャーナルの11日付社説は「中国の周辺国は、米国がレトリックを(実際の)行動で裏付けるのか懸念している」と指摘している。