ベネズエラ、デモ激化 強権政治、大統領の退陣要求 - MSN産経ニュース
南米ベネズエラでマドゥロ大統領の退陣を求める抗議デモが激しさを増している。マドゥロ氏の強権的な政治手法に加え、高インフレや物不足、改善の兆しの見えない治安への不満が高まっているためだ。マドゥロ氏は16日、デモを扇動しているとして、米外交官3人の追放処分を発表し、隣国コロンビアのウリベ前大統領にも批判の矛先を向けており、国民の不満をそらす「マドゥロ氏流のガス抜き」(外交筋)との見方も出ている。
ベネズエラの主要都市で続く反政府デモは12日、首都カラカスで警官隊と過激派が衝突、3人が死亡し、約60人が負傷した。約1万人が集結した18日のデモでは、有力野党指導者のレオポルド・ロペス氏が武装警察に連行されるなど、ここ数週間でジャーナリスト11人を含む100人超が拘束されている。
デモ激化の背景には、野党側が首長を務める地方自治体から、政権与党側が次々と権力を奪う強権の発動がある。経済面でも昨年末に収束するかに見えたインフレが年率約56%で推移し、下降の兆しが見えないことも大きい。
また、ベネズエラの人権団体は独自集計をもとに、10万人あたり73人だった殺人件数が24%上昇したと指摘しており、「国民が治安改善を実感できず、政権への怒りを増幅させている」(外交筋)という。
マドゥロ大統領は反政府デモの背後でコロンビアのウリベ前大統領が資金を提供し、米外交官も学生らを扇動していると批判した。
米国務省のサキ報道官は17日の声明で、対米批判には「根拠がなく、誤りだ」と反発。ベネズエラの政治の将来は自国民が決めることだとし、マドゥロ大統領側に反政府勢力との対話促進を求めた。