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クリミアで何が起こっているのか ロシアの「静かで曖昧な」軍事介入(小泉 悠) - 個人 - Yahoo!ニュース

ごく曖昧な形を取りながら、しかし極めて迅速にロシア軍の軍事介入が始まったのである。

ここで白状しておくと、この段階では筆者は完全に動向を読み誤っていた。
「空港を占拠」と言っても、クリミア半島にあるロシア海軍航空隊の2つの基地(セヴァストーポリのカーチャ飛行場とシンフェローポリのグヴァルデイスコエ飛行場)の警備を強化しただけだろうと考えていたのである。

さらに続報を追うにつれ、占拠されているのがベルベク空港とシンフェローポリ空港であることが分かってきた。

さらに武装集団が街中や道路上にも出現し初め、クリミア全土はいつの間にか、彼らの占領下に入りつつあることも明らかになってきた。

こうなってくると、武装集団の正体は誰なのかということが問題になってくるが、結論から言えばこれはロシア軍であると筆者は考える。
そもそも空港や市内で目撃されている彼らの服装や装備は完全に統一が取れている上、着用している迷彩服、防弾アーマー、ヘルメットなどはロシア軍で配備が始まったばかりの最新型である。
さらに後述するように、彼らはBTR-80装甲車やMi-24武装襲撃ヘリコプターといった重装備まで保有しており、ただの「民兵」などではあり得ないことは明らかだ。

ただし、報道を見る限りでは、クリミアの住民から成る民兵組織や、旧政権の治安部隊「ベルクト」の構成員らも行動を共にしていることもたしかなようだ。

現在までに判明しているところによれば、ロシア軍は自国の軍事基地の警備を強化すると共に、前述の2つの空港、電話局、テレビ・ラジオ局、ウクライナ本土に通じる幹線道路などを抑えており、物理的な交通も通信も遮断されている模様だ(クリミアでは昨日から通信障害が発生し、電話やネットがつながりにくい状況が続いている)。
さらに28日にはベルベク空港上空でMi-24武装襲撃ヘリコプターが目撃されているほか、バラクラバ湾の出口にはロシア海軍ミサイル艇が出現し、同湾を封鎖している。

興味深いのは、Mi-24である。
公開されている情報を見る限り、クリミア半島に駐留するロシア海軍歩兵部隊の第810海軍歩兵旅団はこのヘリコプターを保有しておらず(西部軍管区の海軍歩兵部隊にしか配備されていない)、であるとすれば、ロシア本土から陸軍部隊の増援がクリミア半島へと到着している可能性が高い。

まとめるならば、ロシア軍は国籍を隠して曖昧な形で市内へ展開し、交通と通信の要所を占拠。同時に現地住民や元治安部隊員による武装組織を立ち上げると共に、ロシア本土から増援を受け入れつつある可能性も高い。

いずれの可能性を取るにせよ、ロシアとしてはこの静かで曖昧な軍事介入を通じて、無言の圧力(それも、「軍事力を行使するぞ」という脅しと言うよりは、「軍事力を行使させるなよ」という形で譲歩を引き出すような)を掛けているものと思われる。