ところがモスクワ政府側の信頼性を高めるには、アメリカ政府はロシア政府にたいして、「もしウクライナで誕生しつつある民主制度を不安定化させて、ウクライナの一部を分離させるようなことをすれば――さらには他国の国内紛争へのロシアの直接・間接の介入を含むが――、アメリカ政府は国際的な影響力をつかってモスクワに経済的なダメージを与える手段をとる」ということを、非公式の場で明確に伝える必要がある。
このためのオプションには、アメリカ単独、もしくは国際的な協力による金融制裁や、WTO、世銀、そしてG8などにおける、ロシアの立場の見直しまで含まれるべきだ。
アメリカとEUは、理想的にはロシアの助けをかりて、キエフ内で支配的な民主制度への流れを支援する必要があり、復讐や報復ではなく、国家の統一と政治の穏健化を守る方向へと後押しすべきなのだ。
そしてそれは可能だ。なぜなら、マイダン評議会で登場したリーダーたちは穏健派だからだ。
したがって、短期的なことはさておき、私はウクライナが早期に民主的なヨーロッパの仲間入りを果たすものであると信じている。そしてロシアも、頑なに孤立しようとしたり、時代遅れの帝国主義的なやり方に固執しなければ、長期的にはその動きを追うことになると信じている。