ヨーロッパを歴訪中の中国の習近平国家主席は28日、ドイツのベルリンで政治家や外交官らを前に講演しました。
この中で習主席は、「日本の軍国主義が引き起こした侵略戦争で3500万人以上の中国人が死傷した。この悲惨な歴史を中国人は忘れることはない」と述べました。
また、「1937年に起きた南京事件ではドイツ人の駐在員が日本軍から中国人を保護した」と指摘するなど、繰り返し過去の歴史を取り上げました。
さらに、習主席は「ドイツのブラント元首相はかつて『歴史を忘れた者は同じわだちを踏む』と述べたが、中国にも『過去の事を忘れず後の戒めにする』ということばがある」と述べ、ドイツの戦後処理を評価して暗に日本の取り組みと比較させる形で安倍政権の歴史認識を非難しました。
習主席は、今回のドイツ訪問で、第2次世界大戦中に虐殺されたユダヤ人の犠牲者の追悼施設への訪問を申し入れたもののドイツ側に断られたことから、講演の場を利用して、ドイツを巻き込んで日本に対する批判を強めるねらいがあったとみられます。
日本の残虐行為「記憶に新しい」、南シナ海の権益守り抜く=習主席 | Reuters
訪独中の習近平・中国国家主席は28日、戦時中の日本の残虐行為について、依然として「われわれの記憶に新しい」と述べた。
習主席は「他人にして欲しくないことを、われわれ自身が他人にすべきではないと、中国人は長年信じてきた」と指摘。「人が空気を、食物が水を必要とするように、中国には平和が必要だ」と話した。
また南シナ海の領有権をめぐっては、中国が積極的に行動を起こさないとしつつ、権益は守ると決意を語った。
習主席は「南シナ海問題で、われわれ自身はトラブルを起こさないが、他国が問題を起こしても恐れることはない」と強調。「われわれの主権や領土保全の面で、こうした権益を力強く守り抜いていく」と述べた。