3日は憲法記念日です。
今の憲法を改正する必要があると思うか聞きました。「改正する必要があると思う」が28%、「改正する必要はないと思う」が26%、「どちらともいえない」が40%でした。
NHKが去年の4月に行った調査と比べると、「改正する必要があると思う」という回答は14ポイント減った一方、「改正する必要はないと思う」という回答は10ポイント増え、憲法改正が「必要」と「必要でない」という人の割合がほぼ同じとなりました。
「憲法9条」について改正する必要があると思うか聞きました。
「改正する必要があると思う」が23%、「改正する必要はないと思う」が38%、「どちらともいえない」が32%でした。
去年4月に行った調査では3つの回答はいずれも同じ程度でしたが、今回は「改正する必要があると思う」が10ポイント減り、「改正する必要はないと思う」は8ポイント増えました。
今の憲法の基本的な考え方である「立憲主義」について聞きました。
「政府の権力を制限して国民の人権を保護する」という「立憲主義」について知っていたかどうか尋ねたところ「知っていた」が11%、「ある程度知っていた」が33%、「あまり知らなかった」が38%、「まったく知らなかった」が13%でした。
憲法解釈や憲法改正を議論するにあたって、立憲主義の考え方を重視すべきだと思うか聞いたところ、「重視すべきだ」が71%、「重視する必要はない」が11%でした。
「憲法を改正する必要がある」と回答した人の中でも、議論するにあたって立憲主義を「重視すべきだ」と答えた人は75%で、「重視する必要はない」と答えた人は12%でした。
今回の調査結果について、現在の憲法を守る立場の早稲田大学の水島朝穂教授は「去年の調査と比べて改正に積極的な人が減っていることから、この1年で国民は憲法改正に対しかなり冷静になってきたことがうかがえる。よく『憲法は理想をいって現実を見ていない』などと言われるが、どこの国でも憲法は理想や理念を語っているもので、政治がそれを現実に近づけるよう努力しないといけない。しかし、政治権力が憲法を変えて現実に合わせようとすることに国民が慎重になってきたのではないか。特に平和の問題では現在の憲法9条を変えて国防軍になる場合に生じるマイナス、特にアジア諸国から日本が厳しい目で見られることを徐々に理解してきたのではないかと思う」と話しています。
今回の調査結果について、憲法改正を求める立場の慶應義塾大学の小林節名誉教授は「私自身は憲法改正を求める立場ですが、改憲を容認する人が減っているのは、憲法9条の下で平和に暮らしてきたという実感のなかで、集団的自衛権の話が出てきて警戒感が強まっているのではないか。人々は今悩んでいるところで、これからの議論次第で方向性は決まると思う。主権者の国民が幸福に暮らせるようにすることが国の存在理由で、そのサービス機関として国家機関があり、われわれが管理するマニュアルとして憲法がある。憲法をより使いやすいものにし、主権者である国民の幸せをより増進させるために憲法改正を促していきたい。そのための議論をすることが必要だと思っている」と話しています。
政府が憲法解釈では認められないとしている集団的自衛権の行使を認めるべきだと思うか聞いたところ、「憲法を改正して、行使を認めるべきだ」が13%、「これまでの政府の憲法解釈を変えて、行使を認めるべきだ」が21%、「これまでの政府の憲法解釈と同じく、行使を認めるべきでない」が27%、「集団的自衛権自体を、認めるべきでない」が14%でした。
この結果、2つを合わせた「行使を認めるべきだ」という回答は34%に、2つを合わせた「行使を認めるべきでない」という回答は41%となりました。
去年4月の調査と比べると、「憲法を改正して行使を認めるべきだ」は6ポイント減り、「これまでの政府の憲法解釈を変えて行使を認めるべきだ」も8ポイント減りました。
一方、「これまでの政府の憲法解釈と同じく行使を認めるべきでない」は10ポイント増え、「集団的自衛権自体を認めるべきでない」も5ポイント増えました。
憲法解釈を変更し集団的自衛権の行使を容認することに賛成している駒澤大学の西修名誉教授は「『集団的自衛権を認めると他国の戦争に巻き込まれるのではないか』という声が多いのは、まだ十分に国民の理解を得られていないからだと思う。実際は、集団的自衛権によって戦争ができる国にするのではなく抑止力となるのだということを説明し、国民の誤解を解く必要がある。そもそも憲法9条は自衛権を否定しておらず、国連憲章では集団的自衛権も各国が持つ固有の権利として位置づけられている。もともと認められている権利であるため、あえて憲法改正に踏み込む必要はないが、それが無制限にならないよう、どこまで限定して容認するかという議論に今後は集中すべきだ」と話しています。【「解釈変更はあまりに安易」】憲法解釈を変更し集団的自衛権の行使を容認することに反対している早稲田大学の長谷部恭男教授は「集団的自衛権を行使できるようにしたいのであれば、まずは国民的な議論をして、そのうえで憲法を改正するという手続きをきちんと踏むべきだ。国を守るというのは単に領土を守るとか、国民の生命や財産を守ることにとどまらず、現在の日本の政治体制や立憲主義を守り、自由で民主的な体制を守ることを意味している。それなのに立憲主義という日本の国の根幹となっている原理に反して憲法の解釈をそのときの政権の判断で変えてしまうことになると国を破壊することにもなりかねない。重要な課題で解釈によって憲法の意味を変えるというのはあまりに安易ではないか」と話しています。
「裁判所が具体的な裁判を離れて憲法について申し上げることは控えたい」
http://d.hatena.ne.jp/d1021/20140501#1398941525
http://d.hatena.ne.jp/d1021/20140430#1398854792