歌舞伎の坂東薪車さん、芸名失う 師匠と疎遠に:朝日新聞デジタル
歌舞伎役者の坂東薪車(しんしゃ、本名=鈴木道行)さん(42)が、師匠で上方歌舞伎の名女形、坂東竹三郎さん(81)から「芸養子」を解消され、芸名を失っていたことが28日、わかった。薪車さんは試験に合格した名題役者で、名前を失うのは珍しい。
役者志望だった薪車さんはスーパー歌舞伎に兵士役で出演した縁で竹三郎さんと知り合い1998年入門。「坂東竹志郎」を名乗って修業し2005年、芸を受け継ぐ「芸養子」に迎えられ、竹三郎さんの前名「薪車」を四代目として襲名した。
薪車さんは喜劇などにも出演したが、次第に竹三郎さんと疎遠になっていた。今年2月には現代劇「サロメ」に無断で別の芸名「秋元道行」で出演。竹三郎さんが松竹と話し合って1月末付の芸養子解消を正式に通知したという。
竹三郎さんは「昨秋、改心への期待を込めて『あんたをとても育てていけない』と話したが、『自分は歌舞伎に向いていない』と言われ愕然(がくぜん)とした。適性を見抜けず申し訳ない。薪車は大事な名前で残念でならないが、くじけず今後も若手に上方歌舞伎を伝え、継承に尽くしたい」と話している。