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〔焦点〕「所得上位4割」が増税後の消費リード 進む二極化 | Reuters

4月の増税をきっかけに、日本の消費構造が大きく変化しつつある。バブル崩壊後も約70%の中間層が消費動向を左右するとみられてきたが、ここにきて新たな主役が登場した。「所得上位4割」の階層だ。彼らの購買意欲は増税後も衰えず、堅調な消費を演出している。一方で低価格に反応する階層の節約志向も根強い。「二極化」の進む中で個人消費全体がどちらの影響をより強く受けることになるのか、マクロ政策にも影響しそうだ。

増税前に、消費への悪影響を心配していたのは、ほかならぬ安倍晋三政権だった。来年10月から消費税を10%にできるかどうか、そのカギを握る個人消費が落ち込めば、景気減速につながるだけに慎重に見極めようという姿勢を鮮明にしてきた。


ところが、ふたを開けてみれば、拍子抜けするほど、消費の基調は堅調だ。この背後には、どういうメカニズムが働いているのだろうか──。


その秘密に迫ったある調査結果がある。「増税後も消費態度を変えない消費者が4割いる」というデータを出した電通の分析だ。   同社が5月半ばに実施した調査では、駆け込み消費をしなかった人、4月以降も消費トレンドを変えない人、それぞれ3─4割を占める。 世帯年収が800万円以上、あるいは将来の所得に不安のない立場にいる若者層など、ゆとりのある上位4割程度の所得層だという。

今年、そうした確実な消費層の関心を引き付けているのが、身近になったハイテク製品と、「プチぜいたく」と呼ばれるプレミアム商品だ。

他方、企業のマーケティングの対象外にある階層も存在する。増税が直撃する低所得層やトレンド消費に関心の薄い層が、それに該当する。ほぼ年収300万円以下の世帯に相当し、消費者全体の4割を占める。価格に上乗せされた増税分を節約するために、低価格志向が強まる可能性がある。もし、この動きが顕在化すれば、再びデフレ圧力が増大する事態になることも予想される。

所得上位4割の購買力増加が、消費全体をけん引するのか。それとも低価格戦略に反応する階層の節約志向が、個人消費全体を冷え込ませるのか──。マクロ指標がどちらの影響を受けることになるか、今後の展開は、政府・日銀が発動する政策の方向性にも大きな影響を与えそうだ。