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コラム:米国のイラク政策、意識すべきは中国の存在 | Reuters

もし米国の目的が安定であるなら、イランとの協力は理にかなう。なぜなら、イランは隣国イラクの安定を必要としており、米国の安全保障を向上させ得る有益な情報と政治的な影響力を持っているからだ。


イランは自分たちが大きな影響力を及ぼせるシーア派政権下のイラクに対し、地理的調和の維持を目的として多大な投資をしてきた。イランにしてみれば、シーア派連合が主導する安定したイラクの方が、スンニ派の過激派が主導する不安定なイラクよりも都合がいい。スンニ派の過激派は、米国よりイランを憎むからだ。そうした理由から、イランは米国と協力する意思を示した。

だが米国が、終わりのない戦争という犠牲を払ってでも中東で政治的・軍事的支配をよみがえらせたいのであれば、話は別だ。


ウィリアム・クリストル氏のような新保守主義者の多くは、どれだけの代償を払っても、米国は中東で支配力を維持しなくてはならないと考えている。こうした見方によれば、安定は支配の二の次とされる。同地域の不安定な情勢が、米国による支配の確保もしくは維持に寄与するならば、それで良しとする考え方だ。


新保守主義者の中には、それを「創造的破壊」と呼ぶ人たちがいる。国内と外交政策の両方に適用する概念であり、新保守主義者のひとりであるマイケル・レディーン氏は「創造的破壊」について、「われわれのミドルネームであり、われわれの社会と国外に及ぶ」としている。


こうした人たちの考えによれば、たとえ共通の敵に対するものであったとしても、イランとの協力は除外すべきことである。その理由は、米国にとっての真の脅威がスンニ派の過激派組織ではなく、中東における米支配体制に対抗するイランだからだ。


彼らは、イランが中東の最高権力として米国に取って代わりたいと考えていると主張する。それは過激派よりも大きな脅威となる。実のところ、不安定さがイランを弱体化させるなら、それは米国にとっては有利に働き、理屈は通る。つまりそれこそが「創造的破壊」なのだ。

米国の真の脅威はイランではなく中国だと認識するなら、中東地域の安定の方が支配よりも重要だ。イランはうなり声を上げているライオンかもしれないが、中国は飛ぶ鳥も落とす勢いの昇り竜と言える。


イランとの協力は、米国がイラクの混乱に再び巻き込まれるのを回避できるだけでなく、中国もしくは国内問題といった重要度の高い問題に専念することを可能とするだろう。


結局、中東地域で安定より支配を選択することは、米国を永続的な戦争状態に陥らせることになる。オバマ大統領が新保守主義者たちの声に耳を傾けていないのも無理からぬことと言えよう。