ジョブズが1995年に語った「予言」が的中しすぎ 「Web上では小さな企業でも大企業と肩を並べることができるんだ…」 | ログミー
興味深い体験だったよ。22歳で資産は100万ドル以上あり、24歳になると1,000万ドル、25歳で1億ドルを超えた。でも、そんなことは重要じゃない。お金が目的じゃなかったからね。確かにお金は素晴らしい。資金があれば、短期的に儲けが出ない事業にも投資できたりなど可能性が広がるからね。
だがあの時の私にとって、一番大切なのは会社であり、社員や自社の製品だった。この製品を使うことで人々が何をできるかとかね。金儲けについてはあまり考えなかった。株だって売らなかったし。会社は将来必ず成功する、と確信していたんだ。
そうだな。アップル社にとって大きな痛手だったのは、私が会社を去った後、(ジョン・)スカリー(元CEO)が深刻な病に侵されたことだ。同じ病気にかかった人を見てきたが、彼らは優れたアイディアさえ出せば、作業の90%はできたも同然だと考える。そして「素晴らしいアイディアが浮かんだ」と差し出せば、あとは社員が具体化してくれる、と思い込むんだ。
しかし、素晴らしいアイディアから優れた製品を生み出すためには、大変な職人技の積み重ねが必要だ。それに、製品に発展させる中でアイディアは変容し、成長する。当初とはまるで違ったものになる。詳細を詰める過程で多くを学ぶし、大きく妥協することも必要になってくるからね。
電子、プラスチック、ガラス、それぞれにできることとできないことがある。工場やロボットだってそうだ。だから製品をデザインする時には、頭の中で一度に5,000ものことを考えることになる。欲しいものを手に入れるためには、大量のコンセプトや、新たな方法をいろいろ試して組み合わせる。毎日が新たな問題や発見の連続で、その度に全体を組み直す。そういったプロセスがマジックを生むんだ。
卓越した才能を持つ者が集まって、ぶつかり合い、時には議論を戦わせ、ケンカし、主張する。そうやって互いに切磋琢磨し合い、アイディアが磨かれ、美しい石となる。説明するのが難しいが、1人の力ではないんだ。人はシンボルを求める。だから、私はシンボルにされているが、実際、Macの開発はチームの努力の結果だ。
クリンジリー:でも、正しい方向を見定めるには?
ジョブズ:それは……結局、センスの問題だろう。人類が生み出してきた優れたものに触れて、自分のしていることに取り入れるんだ。ピカソが言ったように、「優れた芸術家は模倣するが、偉大な芸術家は盗む」さ。私たちは良いアイデアを恥じることなく盗んできた。
Macが素晴らしい製品になった理由の1つは、開発チームが音楽や詩、芸術、動物学、歴史に通じていて、しかも世界最高のコンピューターの知識を持っていたからだ。コンピューターのない時代なら、別の分野で活躍していただろう。
彼らは非常にリベラル・アーツ的な雰囲気でMac開発に臨んだ。リベラル・アーツ的な、ジャンルにとらわれないクリエイティブな姿勢で、別分野で触れた最高のものをMacに注ぎこんだんだ。視野が狭いとそんなふうにはいかないだろう。