イエレンFRB、インフレ加速に成果も賃上げ必須に - Bloomberg
インフレ指標としてFRBが重視する個人消費支出(PCE)総合価格指数は、5月が前年同月比1.8%上昇と、2012年10月以来の高い伸びとなった。同指数は同年4月以来、FRBが目標とする2%を下回っているが、同目標到達に迫った形だ。
一方で、5月の個人消費支出はインフレ調整後の実質ベースで前月比0.1%減(前月は0.2%減)と、2カ月連続のマイナスとなった。食料品やガソリン の値上がりに伴い、最新の衣料品や外食、映画など娯楽といった裁量的支出のための余裕が減っているためだ。
株価や住宅価格 の上昇によって、高所得者の家計は潤っているが、賃金が上昇すれば大多数の消費者が支出を増やし、経済成長を加速させることができるようになる。
バンク・オブ・アメリカ(BOA)のエコノミスト、エマニュエラ・エナネジャー氏(ニューヨーク在勤)は「特にインフレ率が上向き始めれば、賃上げのない状況では個人消費が伸び悩む恐れがある」と指摘。「資産効果が実際に賃金や所得の基調的な上昇にバトンタッチし、個人消費を支えるよう期待している」と語った。
イエレン議長は18日の連邦公開市場委員会(FOMC)終了後の記者会見で、「労働市場が逼迫(ひっぱく)し始めれば、賃金の伸びも多少加速すると見込んでいる」とする一方、「仮にそうならなければ、率直に言って個人消費の下振れリスクを心配することになろう」と述べた。
最近のリセッション(景気後退)以後、賃金・給与 の伸びは平均で前年比2.5%と、前回の景気拡大時の4.3%を下回るとともに、米経済の70%を占める個人消費支出は現在の回復局面で平均2.2%の伸びと前回の拡大時の3%を割り込んでいる。
Yellen Spending Mix Lacks Ingredient of Higher Pay: Economy - Bloomberg