これは国際的な人権団体「ヒューマン・ライツ・ウォッチ」が、イラク各地の住民の証言などに基づいて11日、発表したものです。それによりますと、先月9日以降、イラク第2の都市モスルなど6つの都市と村で、政府軍の兵士らが刑務所などに収監されていたイスラム教スンニ派の少なくとも255人を処刑したということです。この中には少年8人も含まれているということです。
イラクでは、シーア派中心のマリキ政権とスンニ派の過激派組織との戦闘が長引くなか、これまではスンニ派の過激派組織が制圧した地域で、多くのシーア派の住民や軍の兵士を殺害した事例がたびたび報告されています。
報告書は、その報復として政府軍の兵士が処刑を行った可能性があると指摘したうえで、「スンニ派の過激派組織の残虐行為は非難されるべきだが、宗派対立を背景とする政府側の虐殺にも目をつぶってはいけない」とイラク政府を批判しています。
一方、アメリカの有力紙、ニューヨーク・タイムズによりますと、イラク政府は今回の報告書について「公正さを欠いており、不正確だ」と述べたということです。