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焦点:米FRB、賃金上昇見逃し政策対応に遅れも | Reuters

最近の調査によると賃上げに踏み切る米企業の数が増えており、米連邦準備理事会(FRB)が考えるより賃金の伸びは速い可能性がある。エコノミストの間では、FRBが賃金上昇加速の兆しを見逃し、インフレを招きかねないとの懸念も一部で生じている。


賃金上昇率を測る指標として注目度の高い全米独立事業者協会(NFIB)が発表する指数は、7年ぶりの高水準に達した。同指数は昨年末に上昇に転じており、過去の経験則ではこの9カ月後に賃金上昇が加速している。


ナロフ・エコノミック・アドバイザーズのチーフエコノミスト、ジョエル・ナロフ氏は「FRBの政策運営にとって最大の脅威は、過去6年間賃金の問題に対処する必要がなかったために、より正常な完全雇用型の経済に戻った時に賃金がどう変化するかを理解できなくなる可能性だ」と指摘。「ダムが決壊した後も、報酬がゆっくりとしか上昇しないとは限らない」と続けた。


イエレンFRB議長は先週、金融危機の余波が「完全に消え去った」ことが雇用・賃金データに示されるまで、緩和的な金融政策を続けると表明。「報酬あるいは賃金の上昇は労働市場が癒えつつあることを示すひとつのサインではあるが、賃金の上昇ペースはインフレ率の上昇につながり得る程度にさえ到達していない」と語った。


しかし懐疑的な見方をするエコノミストもいる。


NFIBのデータは政府の雇用コスト指数(ECI)との相関性が高い。ECIは賃金上昇を測る幅広い物差しであり、イエレン議長お気に入りの指標のひとつでもある。


議長の見方を疑問視するエコノミストらによると、職探しをあきらめた人々や、フルタイムの仕事が見つからずやむなくパートタイムで働く労働者も勘案した労働市場のスラック(緩み)を示す指標と、失業率とのかい離が縮小することなどを原因として、ECIは上昇し始める見通しだ。


現在は失業率が6.1%と過去6年ほどの低水準にある一方、より幅広い労働市場を反映する「U─6失業率」は12.1%。いずれもそれぞれのピークである10%と17.2%から低下している。


<熟練労働者が不足>


賃金の指標として最も幅広く引用される平均時給は低い伸びを示しているが、金融サービス、鉱業、情報、通商といった分野では賃金の伸びが加速している。


最新の米地区連銀景況報告(ベージュブック)によると、大半の地区で賃金上昇圧力は穏やかだが、建設やエネルギーといった分野では経営側が熟練労働者の確保に苦労し、圧力が強まっている。一部地域での最低賃金引き上げも圧力増加に手を貸している。


平均時給は過去1年間で2%の伸びにとどまったが、残業を含む生産・非管理職労働者の総賃金は4.6%上昇した。


この総賃金は賃金上昇率をより正確に反映すると見るエコノミストもいる指標で、驚くべきことに過去3カ月間では年率6.2%も上昇している。


RBCキャピタル・マーケッツのシニア米国エコノミスト、ジェーコブ・オウビナ氏は「FRBが考えるより労働市場はずっと引き締まっており、賃金上昇圧力はおそらくずっと強い」と言う。


全米企業エコノミスト協会(NABE)は今週、会員企業の43%が7月までの3カ月間で賃上げに踏み切ったと発表した。前年同期にはこの割合がわずか19%だった。


デューク大学フュークア・スクール・オブ・ビジネスとCFOマガジンが最近公表した最高財務責任者(CFO)対象の調査結果によると、米企業は第2・四半期に向こう1年間の賃金・給与を3%引き上げる見通しだ。1年前の調査では2.5%の引き上げが予定されていた。


ベビーブーム世代の退職により、平均時給の指標性はさらに弱まると主張するエコノミストもいる。大半の退職者は高給を稼いでいたが、彼らが抜けた後のポジションの大半は給料の低い大卒者が埋めることになる。


これらエコノミストの見方では、こうした人口動態の変化により、現在の平均時給を過去の景気回復時のそれと比較することは不可能になる。


ストーン・アンド・マッカーシー・リサーチ・アソシエーツのエコノミスト、レイ・ストーン氏は「(FRB幹部が)適切な賃金の伸びを測るために利用する物差しが適正かどうか、私は確信が持てない。彼らは過去の景気循環を基準にしているのではないか。それが彼らの基準だとすれば、金融政策はあまりにも長期間にわたり緩和し過ぎの状態が続くという結果に陥りかねない」と語った。

http://d.hatena.ne.jp/d1021/20140722#1406026397