イエレン氏ら「非伝統的」指標使い基調的インフレ察知に注力 - Bloomberg
お気に入りのレストランでくつろぐ米連邦準備制度理事会(FRB)のイエレン議長が、メニューに記された価格にじっと見入ってしまう場面があるかもしれない。
飲食店のメニュー価格は他の財・サービスほど頻繁に書き換えられることはないためで、アトランタ連銀のシニアエコノミスト、マイケル・ブライアン氏は、仮に値上げされれば、それはレストラン経営者がインフレ高進を感知している兆候であり、重要な意味を持つと指摘する。
外食や自動車修理の費用といった変動が緩やかな品目だけで構成する「粘着性の高い」消費者物価指数は、金融政策当局者が監視している代替的な指標の1つだ。クリーブランド連銀やダラス連銀が算出する別の指標でも変動の大きい品目を除外する。
より広範な品目を含む指標には、イエレン議長が指摘するような「ノイズ(雑音)」の影響が及ぶ可能性があるためで、こうした不純物を除去するのが狙いだ。
このような非伝統的な指標から得られるメッセージは次の内容だろう。インフレ率は底を打ち、上昇しつつある。ただ、米金融当局に懸念を抱かせるにはまだ至っていない。ライトソンICAPのチーフエコノミスト、ルー・クランドール氏は、当局が2%のインフレ目標を「上回ってしまうと考えさせるようなものは一切ない」と語った。
基調的な物価圧力の落ち着きは、米金融当局は2015年にかけて短期金利をゼロ近辺に据え置き可能であることを意味する。ブルームバーグ・ニュースが今月実施したエコノミスト調査の予想中央値では、15年7−9月(第3四半期)まで米利上げはないとの見通しが示された。
ライトソンのクランドール氏は、伝統的な指標は物価の基調的な軌道を不透明にしかねないため、金融当局者は物価傾向の把握に努める上でさまざまなインフレ指標を検討していると指摘。「賃金データと代替的な物価指数は連邦準備制度が独自のインフレ期待、さらには政策スタンスを形成する上で一定の役割を果たす」と付け加えた。
アトランタ連銀のブライアン氏は、粘着性の高い物価はインフレがどの方向に向かっているかについて「より良い目安を与えてくれる」と説明。「仮に1年に一度だけ価格を変更するなら、向こう1年間がどういった展開になるか熟慮することになるだろう」と話した。
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