「それが常に真実というものだ」 厳しさ増す「内憂外患」の政治環境 オバマ米大統領 - MSN産経ニュース
米中間選挙(11月4日)まで約3カ月。オバマ大統領を取り巻く内憂外患の政治環境は厳しさを増している。1日の記者会見では、パレスチナ、ウクライナ情勢などが好転しないことについて“釈明”して本音を吐露する場面もあり、苦しい胸の内をのぞかせた。
ホワイトハウスの記者会見室。米メディアの記者から、手厳しい質問が向けられた。
「パレスチナとイスラエルとの停戦は破られ、ウクライナ、イラク情勢にしても(オバマ政権の)外交努力は奏功していない。米国と大統領は、世界における影響力を失ったのか?」
オバマ氏は苦笑いしながら、こう答えた。
「外交には時間を要する。一進一退で、中東やアジア情勢にしてもしかりだ。順調にはいかない。(ロシアの)プーチン大統領の思考を制御することはできない。20世紀を見渡したとき、米国が解決していない紛争は数多い。それが常に真実というものだ」
記者会見は急遽(きゅうきょ)、設定された。明るいニュースが乏しい中で、1日に労働省が発表した雇用統計に真っ先に触れ、就業者数が17年ぶりに、6カ月連続で20万人以上を記録したことをアピールしたかったようだ。
だが、内政でも抜き差しならない状況に置かれている。
下院は1日夜、オバマ氏が目指している、一定の条件を満たす不法移民に滞在の継続と就労を認める移民制度改革案を阻止し、米国とメキシコとの国境に、ホンジュラスなどから押し寄せている子供を即時退去させる共和党主導の法案を、賛成多数で可決した。
会見でオバマ氏は、可決を見越し「極端で実行不可能な法案だ」と批判。「私は独自に行動する」と、大統領権限を行使し改革を強行する意向を示した。大統領権限の「乱用」の違憲性を問い、連邦最高裁に提訴する構えの共和党が、さらに反発するのは必至だ。
さらに、中央情報局(CIA)のブレナン長官が、CIAによる上院のコンピューターへの不正アクセスを認め、謝罪したことが火に油を注いでいる。
オバマ氏の支持率は依然、4割前後と低迷し、中間選挙で共和党が上院での過半数を奪還する確率は、82%(米紙ワシントン・ポスト)との試算もある。難題が山積する中、オバマ氏は9日から、北東部マサチューセッツ州マーサズ・ビンヤード島で、16日間の夏休みを過ごす。